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更新日:2021年8月15日

今週に入って猛暑が続いているイタリアですが、週半ばの11日(水)午後にシチリア島のシラク―サで48.8度の気温が観測されました。

実はこれ、イタリアのみならず、欧州における観測史上での最高気温となるそうです!

世界気象機関(WMO)によると、これまでの欧州の最高気温は、1977年にギリシャのアテネで観測された48.0度でした。


シチリア島は地中海に浮かぶ最大の島で、長靴の形をしたイタリア半島の<つま先>の先っぽに位置し、南イタリアの一つの州に数えられます。その島の南東部にあるシラク―サは、古代ギリシャの植民都市に起源を持つ、世界遺産にも登録されている街です。

(※下の画像で位置が確認できます)

シチリア島のシラク―サで観測されたヨーロッパの最高気温記録

今回の猛暑は、イタリアを覆う高気圧が原因で、アフリカ大陸から来る熱波の影響で発生しました。そして、この熱波には名前が付けられていて、英語で『ルシファー』(Lucifer)、イタリア語では『ルチーフェロ』(Lucifero)と呼ばれています。

<※ルシファーはキリスト教において、堕天使の長であるサタンの別名で、魔王サタンの堕落前の天使としての呼称>


今週末にかけての天気予報~アフリカからの熱波を示す気圧配置

上の図でも分かるように、イタリア半島の下には”アフリカ大陸”が横たわっています。

そして、イタリア北部に横たわるアルプス山脈の上からは低気圧が来ていて、この気圧の境界では、”テンポラーレ”と呼ばれる、ゲリラ豪雨のような激しい雷雨が起こりやすく、時に雹(ひょう)が降ったり、水害をもたらしたりするのです!


ところで、「えー、熱波に名前があるの?」と思われた方⇒「ですよね~?」

実は私も今回の件で初めて知りました😅


実は2年ほど前から、気温が38℃を超えるような猛暑をもたらす熱波に、ハリケーンのように名称を付けることが、気象学や公衆衛生の専門家・研究者や政治家などによって提唱されてきたそうです。

米国をはじめ、世界中で記録的な猛暑が頻発するなか、広く一般への注意喚起を容易にし、対策を促すことにつながる、つまり、異常なまでの暑さは<海に行く理由>にはならず、<命にかかわる問題>であることを認識してもらうため...というのが主な目的のようです。


この熱波によって、イタリア南部では(ギリシャでも)大規模な火災や山火事が発生し、一部の集落で大きな被害が出ていることが、連日のニュースで報じられています。

ドラギ首相は12日、山火事の被害を受けた町村に金融支援を実施する方針を示しました。


そして、シチリア島で史上最高気温を記録した『ルシファー』は、その後イタリア本土を北上し、首都ローマや私の住むミラノなど、各都市にも気温の上昇をもたらしています。

イタリア保健省は、猛暑に見舞われている複数の地域にレッド・アラートを発令している程です。

8月13日(金)のイタリア各地域ごとの予想最高気温

ご覧の通り、イタリア半島と周辺一帯が真っ赤です🔥 体温よりも高いって・・・

ミラノでは、7月中が例年より涼しかっただけに、この暑さは殊更に堪えます💦


日本のニュースでは、西日本を中心に”災害級の大雨”の様子が伝えられていましたが、この頻発化している異常気象への世界規模での早急な対策を求めてやみません。



<イタリアの感染状況の推移>

では、イタリアのその後の感染状況の推移について見てみましょう。(この記事は執筆時8月14日現在の情報を基に書いています)


今回は、過去3週間の推移を1日の増加数週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりの平均数となります。 


   * 7/23- 7/29 感染者数: 4,930 死者数: 16 回復者数: 1,541

   * 7/30- 8/ 5 感染者数: 5,755 死者数: 19 回復者数: 2,512

   * 8/ 6- 8/12 感染者数: 6,177 死者数: 24 回復者数: 3,262


先週末(8月6日)から、グリーンパスの導入が始まったイタリアですが、ご覧のように、感染者数はじわりじわりと増えて来ています。この2日間は3ヶ月ぶりに7千人を超え、死者数も昨日は45人と、6月末以降で久しぶりに40人台を記録しました。


バカンスシーズンの真っ只中で、リゾート地のシチリア島やサルデーニャ島では、そろそろ”イエローゾーン”に逆戻りすると囁かれ始めています。

イタリア人にとっては、とにかく夏のバカンスで羽根を伸ばせれば、秋以降は昨年のように規制が始まっても致し方ない、という考えている人が多いのでしょう。


<まとめ>

昨日、日本の新規感染者が初めて2万人を超える...という衝撃的なニュースを耳にしましたが、その数字自体よりも、この状況下でバタバタとしている政府や自治体の対応に不安を覚えます。

医師会をはじめ、医療関係者の方々の緊迫した訴えや提言の声が、どこまで上層部に届いているのか?と、疑問ばかりが頭をよぎります。

この本当の意味での実質的な『緊急事態』を乗り切るには、国のトップがドラスティックな政策を打ち出してくれないと収拾がつかないように思うのですが、それを期待できるリーダーがいないのが、今の日本の最大の危機なのかも知れません。




PS:インスタグラムでも、ミラノ市内を中心にした写真をアップしています!

この機会にぜひフォローして頂けたら嬉しいです🥰







更新日:2021年8月13日

7月1日から『欧州グリーンパス』(EU Green Pass)、いわゆる『ワクチン・パスポート』の本格的な運用が開始され、間もなく1ヶ月が経ちます。

最初の数日は、パスの読み取りに時間がかかるなど、空港での混乱が取り上げられていましたが、今はスムーズにいっているようです。

正式名称は、『EUデジタルCOVID証明書』(EU digital COVID certificate)というもので、ヨーロッパ連合加盟国間の自由な移動を促進し、仕事や観光目的の旅行を可能にする目的で導入されたデジタル認証です。


証明書の取得要件と有効期限は以下の通りです。

①COVID-19のワクチン(ファイザー/モデルナ/アストラゼネカ /J&Jの4種)接種済み<接種完了から9ヶ月間>

②PCR検査または抗原検査の結果が陰性である<検査から48時間>

③新型コロナウィルスに感染して回復した<治癒から6ヶ月間>

これら3つの状況のいずれかにあることを証明するものです。


有効な証明書の所持者は、EU加盟国間を旅行することができ、旅行先での隔離免除などが受けられます。


また、イタリア国内では、通称『グリーンパス』(Green Pass)と呼ばれ、公的な催事に参加するだけでなく、結婚式への参列やケアハウス(老人ホーム)に住む家族を訪ねたり、スポーツ観戦や観劇などの私的なイベントにもパスの所持が必要とされていました。



<グリーンパスの入手方法>

入手の方法はシンプルで、例えば、ワクチン接種を完了して14日間が経過すると、自動的にSMSでアクセスコードが送られてくるので、それを政府運営の公式サイト、あるいはスマホアプリなどを利用してオンラインで取得できます。

スマートフォンやパソコンを所持していない高齢者などは、かかりつけ医や薬局を通じて取得することもできるようになっています。


私もすぐにアプリをダウンロードして、QRコードがあるデジタル版のグリーンパスを取得しましたが、念のため紙バージョンのPDFも公式サイトから取得して保存してあります。こちらは、紙に印刷して四つ折りにして持ち運べるようになっているのですが、もちろんQRコードを含んでいます。以下にサンプルをご紹介します。

EUデジタルCOVID証明書の紙バージョンのサンプル <伊政府グリーンパス専用サイトより>

左下の図例に倣って四つ折りにした場合、左上が表紙となり、右上が裏表紙となります。QRコードの下には、氏名、生年月日、識別コードが記載されていますが、QRコードをシステムにアクセスさせると、ワクチンの接種や感染からの回復状況、検査結果などが確認できる仕組みとなっています。

また、右下(四つ折りすると中面)には、ワクチン接種の場合には、その種類やメーカー、製造番号や接種日などの詳細が記載されています。


ちなみに、7月25日現在、すでにEUの人口の6割を超す2億8千万件の証明書が発行されたというニュースを目にしました。



<イタリアはフランスを真似た?>

お隣のフランスでは、通称『衛生(ヘルス)パス』(Pass Sanitaire)と呼ばれています。フランスでは6月下旬に1日の感染者数が2千人を下回った後、再び増加に転じて、7月16日に1万人を超えてからは更に加速し、このところの新規感染者数は1日当たり2万人台になり、南仏などの一部地域では、屋外でもマスク着用義務を復活させました。


7月12日にマクロン大統領が、医療従事者のワクチン接種の義務化と衛生パスの条件厳格化などの『追い詰め策』を発表した後、ワクチンの接種予約が急増したそうです。

仏政府は19日、「我々は感染の第4波に入った」と強調し、1日の感染者数が5万人を超えた英国のように爆発的に広がる懸念も示唆しました。


フランスのパスは、これまで千人以上のイベントにのみ提示が求められていたのですが、7月21日からは、50人以上のイベント、あらゆる文化施設、娯楽施設入場の際に、提示(12歳以上が対象)が求められることになりました。

さらに8月からは、レストラン・カフェなどの飲食店に加え、電車・バス(長距離)、飛行機へのアクセスにも、このヘルスパスの提示が必要になります。また、飲食店では屋外・屋内に関わらず同じ条件ということで、飲食店の従業員に対しても、このヘルスパス取得は必須になるようです。


このニュースを聞いていて、いずれイタリアでも同じような動きになると言われていたのですが、噂通り、イタリア政府は7月22日に記者会見をして、8月6日からレストラン・カフェなどの飲食店(屋内のみ)や美術館、映画館、スポーツジム等の施設や、見本市、イベントやテーマパーク等の利用時に『グリーンパス』の提示(12歳以上が対象)を義務付けることを発表しました。追って、公共交通機関(バス、メトロ、列車、飛行機)の利用でも提示が義務化される見通しです。


規定に違反した場合、事業者に加えて利用者にも罰金(400~1,000ユーロ)が課されることとなる他、3日間に3回の違反があった店舗は営業停止になるなど、厳しいルール設定です。

ここ数か月は、ロックダウンが解除され外出禁止などを取り締まっていた警察官が街から姿を消していましたが、このグリーンパスのコントロールのために、また取り締まりの警察官が街に戻ってくることになるわけです。


ドラギ首相は会見で、「デルタ株は脅威だ」と強調し、周辺国(英国、フランス、スペイン)での急速な感染拡大に言及して「迅速に行動しなければ、イタリアでも同じことが繰り返される」などと訴えました。現状、12歳以上の人口の半数以上のワクチン接種が済んでいるものの、若年層の接種は思ったように伸びていないため、首相は「すべてのイタリア人にワクチンを接種してほしい」と呼びかけ、接種スピードをさらに速める必要があるとの認識を示しました。

そして、7月末までだった『非常事態宣言』は12月末まで延長され、保留されていたナイトクラブの再開も見送られました。


なお、現在はイタリア全土がホワイトとなっているゾーン分けですが、このまま感染状況が悪化していくと、今後またイエロー、オレンジ、レッドゾーンに色分けされる可能性もあり、これまでの発生率に基づく基準に加え、新型コロナウイルス患者による病床占有率、集中治療室占有率も考慮されることになりました。


経済を止めずに感染を防ぐには、首相がいうように”ワクチン接種を拡大していく”ことしか手段はないのですが、あえて『ワクチンパスポート』という言葉を使わず、『グリーンパス』という呼称で、ワクチンを接種しなくても旅行などへ行かれる方法も含めて使っていたのかも知れません。でも、<グリーンパスの義務化>によって、これまでワクチン接種を回避したり先送りにしていた人も、実質ワクチンを接種せざるを得ない状況になったのです。(さもなければ、48時間ごとにPCR検査を受けなくてはならないので・・・)


イタリアでもフランスと同じように、ドラギ首相の記者会見後にワクチン接種の予約が増加しているそうです。

それでも、レストランの経営者などは、「せっかく屋内での飲食も可能となって顧客が戻ってきていたのに、この法案で、また客離れが起こる」と懸念しています。



<全国で抗議デモ活動>

一方、ワクチン反対派の抗議デモ活動も活発になっています。先週土曜日(24日)、SNSなどの呼びかけもあり、イタリア全土80以上の都市で一斉に街頭抗議デモが行われました。主な都市の参加人数は、ミラノで9千人、トリノで5千人、ローマで3千人とニュースで発表されていました。


著しい自由の制限だとして、法案化に反対するデモ行進に参加する人が掲げるプラカードや参加者の声の多くは、「No Green Pass」(グリーンパス反対)とか「Libertà」(自由)でしたが、他にも「大手製薬会社は出ていけ!」とか「ワクチンという名の実験~我々はモルモットじゃない!」といったものもあったり、また、グリーンパスの義務化をナチス政権下のユダヤ人迫害に擬えて、ドラギ首相の顔をヒトラーに似せた絵のパネルもありました。


以下、実際の各都市のイメージ写真をネットニュースの画像でご覧ください。


この抗議デモ活動は、もちろんお隣のフランス各地でも起きていて、当局の発表では、マクロン大統領のテレビ演説(12日)直後の7月14日(祝日)の革命記念日には、全国で健康パスに反対する抗議デモが起き、約1万7000人が参加したそうです。その週末17日の参加者は11万4000人に上り、そして先週末24日はさらに増加し、計16万人以上が路上デモを行ったそうです。


もともと、イタリアよりもフランスの方が、様々なデモ活動が盛んに行われてきた背景があり、ワクチン接種に関してもフランス人の方が懐疑的だったという統計もあって、実際にデモの規模も大きいのですが、ニュースでは、警察官と激しく衝突してケガ人が出ている映像もあり、ちょっと驚きました。

なお、フランス議会は、健康パスに関する法案を26日に正式に可決しました。


こうした抗議デモが起きる一方で、「外出禁止令よりはマシ」との受け止め方もあって、世論は大きく割れているようです。



<日本のワクチンパスポートの現状と課題>

日本でも、新型コロナウイルスのワクチン接種を公的に証明する「ワクチンパスポート」の申請受付が、7月26日から全国の市区町村で始まりましたね。


これは、海外の渡航先で入国時に証明書を提示すれば、検疫や隔離措置が免除・緩和されるというもので、日本政府は海外ビジネスの回復を期待しているといいますが、当初はイタリアをはじめ、五ヶ国(他はオーストリア、ブルガリア、ポーランド、トルコ)が対象と非常に限定的です。

例えば、イタリアでは入国後に課せられている10日間の隔離が、トルコでは入国時のPCR検査による陰性証明書の提出が免除されます。

また、韓国では隔離免除に必要な書類のうちの一つとして扱われ、エストニアでは入国後の隔離などはワクチン接種の有無にかかわらず不要としています。


また、共同通信の7月20日の報道によれば、現時点で30ヶ国以上の国で接種証明書が認められる見込みである一方で、ビジネス上の往来が多い米国と中国での交渉が難航しているとしています。


なお、外務省は7月30日付けで、渡航先として以下の七ヶ国・地域を追加しました。追加されたのは、ドイツ、セントクリストファー・ネビス、セントビンセント・グレナディーン、香港、ホンジュラス、リトアニア、プーケット島などタイの一部です。

今後は、日本の証明書が利用できると判断した国については随時、同省のホームページで公表するそうです。


ただ、上記の証明書で海外へ渡航して日本へ帰国した場合も、日本到着後の検査や隔離措置は免除されないという問題点があります。また、他国が発行しているワクチン証明書を持参して日本に入国する場合も、外国人であろうと日本人であろうと政府は隔離免除などの措置は取っていないのです。

本当に人の動きを活発にしたいのであれば、感染状況を見極めながら、証明書を相互に使えるように利便性を向上する必要があるのではないでしょうか。


政府は当面、紙媒体で証明書(下の写真は書式例)を発行し、いずれはスマートフォンなどで表示できるようデジタル化する方針だといっていますが、二次元コードの規格について国際的に策定中で、その動向を見定めながら検討していくということで、実際にはまだまだ時間がかかりそうです。

コロナウイルス ワクチン接種証明書の様式サンプル <厚生労働省HPより>

上の証明書で、右上方の少し空間があるところにQRコードが加えられる予定のようです。用紙自体には”偽造防止対策”が施されているとはいいますが、まったく証明書としてデジタル化がされていないのは一目瞭然です。


申請に必要なものは、以下の4点。

(1)申請書

(2)海外渡航時に有効なパスポート

(3)接種券のうち「予診のみ」部分

(4)接種済証又は接種記録書


申請先は、接種を受けた際のワクチンの接種券を発行した市町村(通常は住民票のある市町村)ですが、接種後に転居した場合など、1回目と2回目で別の市町村の接種券を使用して接種を受けた場合には、それぞれの市町村が申請先となるなど、この場合の手続きは煩雑です。


また、多くの自治体は窓口の混乱を避けるために申請は郵送のみでの受付としている所が多いため、実際に発行された接種証明書が返送されてくるまでに1-2週間程度のラグが発生するでしょう。


そして、接種券が届く前に先行接種した医療従事者や職域接種などのケースでは、<ワクチン接種記録システム(VRS)>に問い合わせる形で、市区町村の受付担当が情報の照会を行なった上で入力を行うのだそうです。

以前、日本のニュース報道で、接種後のVRSへの入力が、すべて自治体職員による一枚一枚の手作業だと知った時には、正直なところ、ここまでデジタル化が遅れている日本の行政の現状に驚愕しました💦



<日本からイタリアへの渡航は?>

以上のように、日本のワクチン接種証明書を取得すれば、イタリアに到着後の検疫と隔離は免除されます。ただし、イタリア入国前14日以内に英国に滞在したりトランジットしたりすると、現状ではPCR検査または抗原検査を受けて、5日間の隔離、そして、隔離期間の終わりに再度PCR検査または抗原検査を受ける必要があります。また、ブラジルやインドなどのように、事前に滞在・トランジットをした場合には、イタリアに入国できなくなるケースもありますので、渡航ルートの選定には注意が必要です。

ちなみに、日本~イタリア間は、現在アリタリア航空が、羽田~ローマ間を直行便(週5便)で繋いでいます。


しかし、現状で問題となるのは、入国後の隔離は免除されても、今回の<グリーンパスの義務化>によって、美術館やレストランに行くために、その都度PCR検査を受けないとならない点です。また、在住でない旅行者でも検査結果のデジタル認証を取得できるのかどうかも未確認です。

そのため、残念ながら実質上、観光目的での渡航は現実的でないと言えるでしょう。



<イタリアの感染状況の推移>

最後に、イタリアのその後の感染状況の推移についてもお伝えします。(この記事は執筆時7月30日現在の情報を基に書いています)


今回は、過去3週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりの平均数となります。 


   * 7/ 9- 7/15 感染者数: 1,602 死者数: 16 回復者数: 1,668

   * 7/16- 7/22 感染者数: 3,439 死者数: 10 回復者数: 1,433

   * 7/23- 7/29 感染者数: 4,930 死者数: 16 回復者数: 1,541


ここ数日の英国3万人やフランス、スペイン2万人超えという感染状況と比べると、イタリアはまだ抑えられている方ではありますが、7月22日に2か月ぶりに5千人を超え、この2日間は6千人を超えるといった具合で、感染者は確実に増加傾向です。


最近のニュースで耳にしたのは、スペインのバルセロナでは先週末、夜間外出禁止措置を発令したそうです。

ヨーロッパ各国では、多くの人が移動する夏のバカンスシーズンが終わって、昨年のように、秋以降の感染の加速が懸念されています。



<まとめ>

日本では、東京をはじめ、連日のように過去最多の感染数を更新する地域があり、全国の感染者数も2日続けて1万人を超えてきました。緊急事態宣言も拡大や延長がされる中、国民への危機感の共有を求める政府と、”宣言慣れ”してしまって首相や知事の言葉が心に響かない様子の国民。。。その一方で、オリンピックでの連日のメダルラッシュに沸く報道とのバランスや兼ね合いが何とも奇妙に映ります。


不思議なのは、日本でのPCR検査数が、諸外国と比べて相変わらず非常に少ないことです。例えば、英国で5万人を超える感染者が出た頃の検査数は、1日100万件を超えていました。状況が落ち着いてきていたイタリアでも、平均して1日25万件は検査が行われています。


一方、報道やデータで見る限り、ここ数日の東京の検査数は平均して1万件前後、全国でも6万件前後だそうです。これだけ感染者が増加傾向にあるのに、一向に検査数を増やさない(増やせない)ということは、言葉を替えると、無症状の隠れ陽性者が把握できていないのが実態だということですよね。


結果的に無観客での開催にしたとはいっても、オリンピック開催によって、世界各地からの人の流入があっただけでなく、期間中の人流は毎日それなりにあるでしょう。

そして、政府や自治体がどんなに「自宅でオリンピックを観戦しよう!」と謳っても、危機感を感じていない国民は、”自粛疲れ”を晴らすために夏休みで帰省や旅行に出かけている様子です。


世界中で、コロナ関連の悪いニュースを見聞きすることなく、純粋にオリンピックで汗を流すアスリートたちの活躍が応援できたら、どんなに楽しいだろうと思わずにはいられない毎日です。



注:写真はすべてネットニュースより拝借しています。



7月11日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われた『欧州サッカー選手権=EURO(ユーロ)2020』の決勝戦は、1-1の引き分けで延長戦に突入し、合わせて120分の死闘でも決着がつかずPK戦にもつれ込み、その結果3-2でイタリアが地元イングランドを降し、53年ぶり2回目ヨーロッパ・チャンピオン🏆となりました!!


イタリアが国民的スポーツであるサッカーでメジャーなタイトルを取ったのは、2006年のワールドカップ(ドイツ大会)以来15年ぶりなのですが、その後のイタリア代表は、ワールドカップで2大会続けてグループリーグで敗退しただけでなく、2018年のロシア大会に向けては、なんと”予選敗退”(2017年11月)という大失態で低迷していたのです。


この低迷していたイタリア代表を甦らせたのが、2018年5月に代表監督に就任したロベルト・マンチーニ氏です。以来、今回の決勝戦まで34試合無敗という記録を更新中です!

チームは、今回成し遂げた”偉業”で、<Rinascimento Azzurro>(リナッシメント・アズッロ=イタリア代表の再生)と表現され、その功績を称えられています。


<各都市でのフィーバーぶり>

イタリア国内は、6月中旬からロックダウンもほぼ解除され、初夏の過ごしやすい気候なので、決勝戦はサッカーファン(であってもなくても)皆で集って応援しようという気運となり・・・首都のローマでは、広場に大型スクリーンを設置したパブリック・ビューイングが行われたり、各地のスポーツバーなども大賑わいの様子でした。

問題となったのは、優勝が決まった後のお祭り騒ぎぶり。。。試合が終了したのは、イタリア時間で既に深夜近く...日曜日の夜でも夏休み中の学生たちには関係なく、その興奮冷めやらぬ熱狂ぶりは、飲酒も加わってヒートアップしていったようです。


この前の準決勝の時でさえ、歌いながら騒いだり叫んだりする声や車やバイクのクラクションの音が街に響き渡っていたので、それが”優勝”ともなれば、それ以上のフィーバーぶりになることは容易に想像ができました💦


では、実際の各都市のイメージ写真をネットニュースの画像で確認してみましょう。


これらの写真は、優勝決定後のローマ、ナポリ、ミラノ、ジェノヴァでの様子ですが、若者たちの歓喜に湧く姿や、その群衆の中で発煙筒を焚いたりと、画像からもその熱狂度が伝わってきますよね。

屋外でのマスク着用義務も撤廃されているので、写真でみてもマスクをしている人はほぼ見られません。ほんの一ヶ月前まで”夜間外出禁止令”が出ていたことを考えると、マスク無しで夜の街を練り歩ける解放感は、彼らにとってはことさら特別なものに感じられたことでしょう。。。


なおミラノでは、やはり大聖堂広場の人混みが際立っていたようですが、市の南のナヴィリオ地区では、トラム(路面電車)の屋根の上に大勢の若者が登っている様子(3段目右側/写真6枚目)が写っていて、これにはさすがに驚きました!!実際、ミラノではこの夜、救急車で15人が運ばれ、そのうち3人は重体だったそうです💦



<ローマでの凱旋パレード>

優勝の翌日にロンドンからローマに凱旋帰国したイタリア代表(アズッリ)ですが、朝早くから空港で待って出迎えるファンもいたようなので、もしかしたら夜通しでお祝いしていたのかも知れません(苦笑)


その日の午後アズッリは、まず大統領官邸であるクィリナーレ宮殿に赴いて、マッタレッラ大統領に改めて優勝の報告をしました。

大統領は、決勝戦を観に現地まで応援に行っていたのですが、チャーター機の利用とはいえ、片道3時間近い飛行距離を移動し、スタジアムに3時間前後(決勝戦前セレモニー+試合90分+ハーフタイム15分+延長30分+PK戦+表彰式)滞在し、しかも日帰りという強行スケジュールです。今月で80歳を迎えるとは思えないスタミナです!


大統領官邸の庭園でマッタレッラ大統領と記念写真を撮るアズッリとベレッティーニ選手

ここには、奇しくも同じ日に同じロンドンの地で決勝戦を戦ったイタリア人テニスプレーヤーのマッテオ・ベレッティーニ選手も一緒に招待されていました。ベレッティーニ選手は、残念ながら世界ランキング1位のジョコヴィッチ選手に負けて準優勝となったのですが、それでも天下のウィンブルドンで決勝まで進んだ初のイタリア人プレーヤーなのですから、大したものです!


宮殿の庭園で行われた祝勝会では、国家演奏に続き、2つの決勝戦のダイジェスト映像が流れ、選手や監督のスピーチと最後に大統領の祝辞が述べられ、ベレッティーニ選手からはラケット、アズッリからは大統領の名前入りのシャツに選手たちのサインが入ったものがマッタレッラ大統領に贈られました。


上の写真では、中央のマッタレッラ大統領の右側に、ウィンブルドン選手権の準優勝プレートを携えるベレッティーニ選手、左側に欧州選手権の優勝トロフィーを抱えるアズッリのキャプテン=ジョルジョ・キッエリーニ選手が、そして更に左手にマンチーニ監督が写っています。ちなみに、アズッリがお揃いで着ているオフィシャル・スーツは『アルマーニ製』です。


続いて彼らが向かったのは、首相官邸のキージ宮殿です。この時の移動をテレビのライブ中継で見ていたのですが、アズッリを一目見ようと大勢のファンが集まって来ていて、バスが通る沿道も大変な人出でした。


首相官邸の中庭でドラギ首相と記念撮影をするアズッリとオリンピックに出場するアスリートたち

代表チームとベレッティーニ選手の到着を待っていたドラギ首相は、バスから降りた選手一人ひとりを入口で出迎えて言葉をかけていました。


ここでは、エストニアのタリンで7月8~11日まで開催されていた『ヨーロッパ陸上競技U-23選手権』で活躍したメダリスト5人も招待されていました。この大会でイタリアは、6つの金、5つの銀、2つの銅メダルを獲得して、参加国の中で1位となったようです。

上の写真の中で、ブルーのジャージ姿の選手たちがそうですが、おそらく彼らはオリンピック代表にも選ばれているのでしょう。


ドラギ首相は、スポーツ界で大活躍を果たし、イタリア国民に感動と勇気を与えたアスリートの彼らの活躍を称えて祝福しました。そして、スピーチの最後に、間もなく東京で開催されるオリンピックのことにも触れ、「昨日体験したような魔法の夜をもう一度体験したい」と期待を寄せました。

最後に、政府からの記念のプレートが一人ひとりに贈られて、記念写真を撮影して閉会しました。


アズッリがキージ宮殿から出てくると、用意されていたのは『欧州チャンピオン』と書かれた特製の2階建てオープンバスです。これに乗って『優勝パレード』でローマの街を行進です。

ご覧のように、密集した大勢のファンに囲まれてバスはなかなか進めません。。。

2階建てオープンバスでローマ市内を凱旋するアズッリ

優勝パレードの模様をダイジェストでまとめた動画がYouTube上にアップされていたので、こちらに貼り付けておきますね(約3分)。




<イタリアの感染状況の推移>

最後に、イタリアのその後の感染状況の推移についてもお伝えします。(この記事は執筆時7月17日現在の情報を基に書いています)


今回は、過去2週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりの平均数となります。 


   * 7/ 2- 7/ 8 感染者数: 902 死者数: 21 回復者数: 2,009

   * 7/ 9- 7/15 感染者数: 1,602 死者数: 16 回復者数: 1,668


7月11日には、イタリア全国で死者数が7人と10ヶ月ぶりに一桁だったので、死者数の平均値は今のところ減少傾向のままなのですが、せっかく順調に減っていた感染者数も、この3日間は2,000人を超え始め、そして先程のニュースで本日(17日)の数字が発表されましたが、やはり3,000人を超えてきました。それでも、昨日イギリスが5万人を超えたのと比べれば、少なく感じてしまうのは気休めでしょうか?(苦笑)


今イタリアで心配されているのは、上記レポートのように、このサッカーの祝賀ムードで街に繰り出して密集し大騒ぎしていたのは、主に10~30代の若者であり、その大半がまだワクチン接種が済んでいないということです。

同じことは、イギリスの急激な感染再拡大にいついても言えるので、イタリアの数週間後の状況がイギリスのようになるのでは?という懸念が、人々の頭をよぎるのです。。。


参考までに、下の円グラフがイタリアの年代別のワクチン接種状況を表わしたものです。

イタリア全国の年代別ワクチン接種率(7/15現在)

関連して、世界のワクチン接種の状況(7/16現在)を見ていて気付いたことがあります。

ワクチンを1回以上接種した人をその国の人口で占める割合でみると、カナダの69.9%が1位で、英国が68%で2位、3位スペイン(62.1%)に次いで、イタリアは60%で4位でした。そして、日本は32.4%で14位となっていました。

ところが、これ(1回以上接種者)を累計数でみると、1位が中国(人口に占める割合は43.2%)の6億2,200万人と桁違いで、2位がインド(同22.9%)の約3億1,612万回、3位が米国(同55.4%)の約1億8,514万回、4位がブラジル(同43%)の約9,134万回、5位がドイツ(同59.1%で人口別でも5位)の約4,948万回、6位が英国の約4,616万回、次いで7位に日本が約4,095万回につけているのです!そして、イタリアは約3,626万回で12番目でした。

<出展:時事ドットコムより>


当初、ワクチン接種に関しては世界で出遅れていた日本も、国を挙げてスピードアップした結果、いつの間にか接種回数ではイタリアを追い抜いていたのです!

つまり、最初からその気になっていれば、オリンピックが始まる前には、かなりの接種率になっていたはずですから、現在の感染状況もまったく違うものになっていて、無観客にしなくても済んだのではないかと思うと、実に残念でなりません。。。



注:写真はすべてネットニュースより拝借しています。



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