- 2019年10月29日
更新日:2020年6月30日
3回に渡りイタリアでの免税手続きについて書いていますが、同じイタリアでも都市によって、また同じ都市でも空港によって、そして同じ空港でもターミナルによって手続きの方法や手順が違うので、そのケースごとに細かい説明を心がけてみました。
今回はローマのフィウミチーノ空港(別称:レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港)について、私の知っている範囲で記述してまいります。
フィウミチーノ空港にはターミナルが4つあるのですが、事実上メインで使用されているのは2つ、ターミナル1と3になります。どの航空会社を利用するかでターミナルが分かれますので、空港へ向かう際にあらかじめ確認が必要です。詳しくは、こちらの⇒ローマ空港・公式サイト(英語版)より確認できます。
〔ターミナル1〕
まず、イタリアのフラッグ・キャリアであるアリタリア航空は、こちらのターミナル1になります。
日本への直行便やミラノ・マルペンサ経由で帰国するケースの他、欧州の航空会社を利用するケースで、例えば、エールフランス航空でパリ乗継ぎ、KLMオランダ航空でアムステルダム乗継ぎ等々、様々なケースが考えられます。
また、今年の夏時間運航(3月31日~)より、ドイツのルフトハンザ航空やベルギーのブリュッセル航空がターミナル3から1へ移動していますので、全日空(ANA)と共同運航でフランクフルト、ミュンヘン、ブリュッセルなどでの乗継ぎの場合もこちらのターミナルです。

上の写真は、ターミナル1(アリタリ航空チェックインカウンターすぐ横)にある税関の窓口になります。
ターミナル1には、免税手続き代行業者のカウンターがないため、前編でご説明した①の方法=免税対象品を航空会社への預け荷物(スーツケース類)に入れて手続きする場合は、まず航空会社のチェックインカウンターでチェックインをし、その際に免税手続きがある旨を伝えて、バゲージクレーム(受託手荷物)タグを付けてもらったスーツケースを持って税関へ向かいます。
手続きに必要な書類は:
*免税書類と購入品のレシート
*パスポート
*搭乗券
この3点になります。
上の窓口で書類の承認(現在は電子スタンプ)が済んだら、スーツケースはすぐ横にあるレーン(写真では閉まっていますが、左側の銀色の台のところ)から流すので、航空会社のカウンターへ戻る必要がありません。
次に、前編でご説明した②の方法=免税対象品を機内持ち込みの手荷物に入れて手続きする場合についてです。
こちらの場合、日本行きの直行便のケースと欧州線で乗継ぐケースで違ってくるので注意してください。
というのは、ミラノのマルペンサ空港ではセキュリティ・チェックを通った後の出発ゲートエリア内に税関〔DOGANA/Customs〕と免税手続き代行業者の窓口カウンターがありましたが、フィウミチーノ空港の場合は、さらにパスポート・コントロールを通過してからでないと手続きができません。つまり、日本までの直行便で帰国する方は、セキュリティ⇒パスポート⇒免税手続きという順になりますが、欧州線で乗継ぐケースでは、イタリアと乗継ぎする欧州の国が『シェンゲン協定』で締結されている場合、パスポート・コントロールはイタリアではなくその乗継都市の空港で受けることになるからです。
そのため、免税対象品が手荷物になっている方は、EU加盟国の最終出国地での手続きとなるので、欧州線で乗継ぐ空港で、税関または代行業者カウンターを探して手続きを行なってください。
乗継時間が短かったり飛行機が遅れたりすると、この免税手続きを行なうことができなくなることもありますので、充分にご注意ください。

上の写真は、フィウミチーノ空港の出発ゲートエリア内の免税手続き代行業者の窓口カウンターなのですが、実は昨年まではセキュリティ・チェックのすぐ後のDゲート付近にあったので、欧州線に乗る乗客でもここで手続きが可能でした。
現在は上述のように、パスポート・コントロールの後のEゲートエリアへ移動したため、勝手が違ってきてしまいました。
ですが、さらに遡ると元々は現在と同様にパスポート・コントロールの後にあったことを考えると、こういった規定は予告なく変わることがあると思っていた方が良いでしょう。
余談ですが、マルペンサ空港も同じように、中の税関が以前はパスポート・コントロールの後に位置していました。
〔ターミナル3〕
こちらは、海外キャリア(航空会社)による北米線、中近東・アジア線や一部の欧州線などが利用するターミナルとなっています。
上述したターミナル1と少し手順が異なり、ミラノ編のマルペンサ空港と同じ手続きとなります。

ターミナルの出発階に到着したら、〔VAT REFUND/Customs〕の表示を探して、矢印の指し示すチェックインカウンターの奥の方に進んで下さい。
すると上の写真のように、マルペンサ空港と同様に3つの会社(詳しくは前編を参照)の窓口があるので、書類と同じ会社のカウンターで手続きをします。
あらかじめ航空券を印刷して持っている場合は、航空会社のカウンターでチェックインをする前に、スーツケースを持ってこちらに来て手続きが可能です。航空券がない場合は、チェックインをして免税手続きが必要な旨を伝え、その際にスーツケースを預けずに、搭乗券をもらって荷物を持って向かいましょう。
手続きに必要な書類は:
*免税書類と購入品のレシート
*パスポート
*航空券(Eチケット)または搭乗券
この3点になります。
書類の処理が済むと、その場で払戻し方法の希望を聞かれますので、クレジットカードに振込んで欲しい場合は、該当のカードを渡して登録してもらうと、添付の封書に入れて郵送するよりも格段に処理がスピーディに行われます。ちなみに、払戻しはカード会社のレートで円換算されて日本円で戻りますが、円からユーロに交換した時よりも低いレートで計算されます。
また、現金(キャッシュ)で払い戻しを受けることもでき、基本的にはユーロとなりますが、これが一番早くて確実です。ユーロ圏にまた来る予定がある場合は、こちらがお勧めです。
※キャッシュの場合は、一定の手数料が引かれます。グローバルブルー社の場合、払戻し額が€800までは3~8ユーロと段階に応じ決まっていて、€800を超える時は金額の1%が手数料です。
なお、イタリアへ来る前に他のEU加盟国で発行された書類については、ここのすぐ横にある税関オフィスで承認を受けなければなりません。
また、免税会社の窓口でのチェックで、高額商品の書類については、税関へ行って承認を受けてくるよう指示される場合もあります。
そこで税関員に品物がどこにあるかを聞かれ、場合によってはスーツケースを開けて品物を見せるように指示されることもあります。
これらの手続きが無事に済んだら、スーツケースを持って自分が搭乗する航空会社のチェックインカウンターへ行って荷物を流せば完了です。
②の方法で機内持ち込み手荷物にする場合については、上述のターミナル1と同じ方法になります。
欧州線のシェンゲン協定加盟国経由の場合は、その乗継ぎをする空港での手続きとなり、ロシアや日本以外のアジアの国(中国や韓国など)、あるいは中近東諸国(ドバイ、ドーハなど)で乗継ぎをされる方は、パスポートコントロールの後の免税カウンター(または税関)で手続きを行なってください。
〔まとめ〕
免税書類については、払戻し手続き後は代行業者の方で回収されてしまうので、発行した店舗の方で顧客用控え(コピー)をくれない限り、手元に残りません。
現金をその場で受け取った場合は良いのですが、クレジットカードへの振込を選択した場合は、その確認ができるまで、本当に払戻しがされたのかどうか調べる手段が必要になります。
とりわけ、専用カウンターで手続きができず、書類を封筒に入れて専用ボックスや郵便ポストへ投函した場合は、書類が無事に免税会社の本部(封筒の宛名)まで届いたかどうかの確認もできません。
ショッピング情報が電子化された昨今では、空港で手続きをする前に予め書類番号を控えておくか、あるいはスマホで写真を撮っておけば、後から処理状況の進捗を調べること(トラッキング・システム)が可能になりました。書類番号は、バーコードの下にある<Doc-ID>というのがそれにあたります。
以下に、各社のサイトをリンクしておきますので、詳細を参照して下さい。
<planet>(旧<PREMIER tax free>)
なお、各社ともにスマホ用のアプリがあるので、そちらをダウンロードしてあらかじめ登録をしておけば、各ショップでの免税書類発行の手続きがかなり簡略化されるようです。
最後に、今後また何かの変更があれば、こちらでもアップデートしたいと思いますが、基本的にはご自身で最新の情報を調べておかれることをお勧め致します。
※こちらは2019年10月時点での情報を基に記載しています。