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更新日:2021年6月13日

今回は、筆者自身が居住地のミラノで受けた「新型コロナウィルス」のワクチン接種について、当日の詳細をレポートしたいと思います。


<予約から接種当日まで>

私がオンラインで予約したのが5月10日なので、5月31日の接種日まで3週間の待機期間がありました。この間、ニュース報道や接種体験者の色々なコメント・感想を見聞きして、「期待と不安」が入り混じりました。

ちょうど接種状況が加速し始めてから、徐々にイタリアの感染状況が落ち着いてきた頃だったので、ワクチン接種が進むにつれ、感染状況が収束していくことへの期待。

同時に、接種後の副反応や、ごくごく稀に死亡するケースもあるという事実、そして、まだ医学的に未知な部分、特に将来的な後遺症に対する漠然とした不安。


ワクチンを否定的に捉える人もいれば、打ちたくても体質的に打てない人もいる中で、きっと世界中に、同じような想いを抱きながら接種する人が多いのではないかと。。。


予約時間は夕方の17~18時、夫の帰宅を待って一緒に会場へ向かいました。海外で受ける初めてのワクチン接種ですから、事前に問診票などの記入を済ませているとはいえ、一人で受けるよりも夫がいた方が安心だと思っていました。


予約できた接種会場は、自宅からも程近い市内の展示会場にあるワクチンセンターです。

(現在、ミラノ市内には、約20ヶ所のワクチンセンターが設けられています。)

上の写真・左に見えているガラス張りの円柱形の建物が螺旋階段になっているのですが、それと同じものが手前の白テントの所にもあり、そこが階段への入り口となります。

スマホの画面を提示し、予約日時を確認され、そこから2階(日本の3階)まで上がっていくと、上の写真・右の会場入口がありますが、展示会場なのでワンフロアの高さが普通の建物の倍はあるし、螺旋状でグルグル回るので、マスク着用で辿り着く頃には息切れ状態でした💦

入ったところで検温~といっても、センサー式のモニターが置いてあって、自動的に体温が表示されるシステムです。


実はここ・・・昨年3月の感染爆発の際に、ミラノ市内の病院が重症者で溢れて逼迫し、展示会場の一部を突貫工事で改装して作った臨時の病院だったところです。

その時のブログ記事があるので、よければコチラ☜から参照して下さい。


ちなみに、この一年前の記事で紹介している他都市の臨時病院として使用した施設の多くは、現在ワクチンセンターとして利用されているところがほとんどです。


<当日:受付から接種の流れ>

中に進んで、受付会場の入口にいる係員に再びスマホに保存している予約票を見せ、そこで受付番号が渡されました。下の写真のように、待機用の椅子が並べられていて、前方にあるモニターに自分の受付番号が表示されるのを待ちます。いわゆる郵便局や銀行と同じシステムです。


かなり待つのかと思いきや、受付窓口が16ヶ所もあるので、10分も待たずに自分の順番になりました。表示された窓口番号の所へ行って予約票と健康保険証を提示し、予約内容の確認作業です。ここで各社のワクチン情報と注意事項の記載してある紙(事前にオンラインでも閲覧可能)を渡されます。


私が受け取ったのは、ファイザー社とモデルナ社の2社の説明が一枚両面に印刷されたものと、ジョンソン&ジョンソン社のものが一枚でした(あとで分かったのですが、夫にはジョンソン&ジョンソン社の代わりに、アストラゼネカ社のものが渡されていました)。

私の当たった受付窓口の担当者は、おそらく同世代と思わしき女性だったのですが、私が日本人と分かるやいなや...「貴女は日本で生まれたんですか?」「日本へは時々帰っているの?」とワクチンとは関係ない質問をしてきた後で、「日本へ行くのは私の長年の夢なんですよ!」とはにかむような笑顔で話してくれました。


日頃はメルカート(青空市場)などで中国人に間違われることが多いので、こうして親日家のイタリア人と遭遇すると、なんだかそれだけで嬉しくなり、おかげでワクチン接種前の緊張がだいぶ和らぎました(笑)


受付の後は医師による問診へと進みます。問診用の部屋が3つほどあり、その前のスペースに椅子が2列に並べられて、到着順に奥から座って待機します。順番が来ると、係員が部屋に振り分けるのですが、私たちが夫婦だと分かると、一緒に案内をしてくれました。


部屋の中がさらにパーテーションで、3ヶ所くらいに区切られていましたが、私たちが当たったのは若手の男性医師で、予め記入していった問診票を渡すと、それを見ながらいくつか確認で質問されました。

まず年齢、コロナ感染経験、アレルギーの有無、服用中の薬があるか…等です。そして、私は一回接種型のジョンソン&ジョンソン(=JANSSEN)を勧められたので、1回で済むという魅力に飛びついて、それで承諾し、同意書に署名を求められました。

間違えのないように<JANSSEN>(イタリアではヤンセンと読む)と大きく書かれた赤い紙を渡され、一足先に接種ブースへと向かいました。


JANSSENというのは、ジョンソン&ジョンソン・グループの医薬品部門であるヤンセン・ファーマ社のことで、ベルギーに本部があり日本法人もあるようです。日本では、米国ジョンソン&ジョンソン社のワクチンとして紹介されているみたいですが、こちらでは主にヤンセンと呼ぶことが多いです。

日本でも5月に承認申請したばかりだと聞きましたが、ここイタリアでも4月下旬から実際の接種が始まった後発組で、予約時点で添付されていたリンクの説明書の中にもなかったのです。


係員の誘導に従い接種ブースの方へ向かうと、順番を待つ小部屋へ案内されました。少しして呼ばれたので、打ち方の看護師らしい人の待つカーテンで仕切られた空間(下の写真中央)へ向かいました。病院として使用されていた時に、ここにベッドが置かれていたのでしょう。

ここで医師からもらった紙を渡し、名前を確認されて、肩を出して消毒⇒接種です。一瞬「ズーン」とした鈍痛を感じましたが、すぐに終了です。


横に設置してあるプリンターから印刷された「QRコード入りの接種証明書」をその場で渡され、待合所で15分ほど休憩してから帰宅するように言われました。

接種後の待合所で合流することになっていた夫を探し、空いている席を見つけて座りました。上の写真・右のように細長い廊下の両脇に椅子が置かれているほか、奥の方にもう少し広いスペースもありました。ここを看護師が巡回し、気分の悪くなった人がいないか注視しているようでした。


ここで夫の話を聞くと、彼は問診の結果、モデルナ社のワクチンを接種することになったそうです。そのため、夫の接種証明書には、2回目の接種の日時が記入されていました。

そして、携帯電話にも直ぐにSMSが届いて、2回目の接種日時が通知されたそうです。


結局、どこ製のワクチンになるかは、その会場のリアルタイムの在庫状況などにもよるので、1回目の接種に行った時に、医師との問診を経て決定することになります。


会場に到着してから、接種後の休憩を終えて会場を出るまで、ちょうど小一時間くらいでした。特に混乱や問題もなく、全体に滞りなく進められている印象です。


<接種後の副反応>

結果から言うと、上腕接種部位に2-3日は違和感が残り、腕を上げたりするのが痛かったくらいで、私自身は特に副反応らしいものは出ませんでした。


ただ、夫の方は、当日の朝から鼻風邪を引いていたらしく、接種日の夜から微熱が出て、横になってからも鼻水が止まらずに熟睡ができませんでした。翌日も倦怠感があったようで、2日ほど安静にしていましたが、3日目くらいから回復しました。

これが、ワクチンの副反応によるものなのか、単に鼻風邪をこじらせたものなのか、あるいは免疫が落ちていたために症状が出たのか、結局のところ分かりません。。。

2回目の接種の時には、万全の体調で臨んで、副反応が最小限で済みますように!


実は、私が医師の勧めに従ってジョンソン&ジョンソンのワクチンに決めた理由の一つに、2回目の方が副反応が出る人が多く、1回目より症状が出るというデータを目にしていたからでした。注射が好きだなんて人はいないと思うので、1回の接種でほぼ同じような予防効果が得られるのなら、それに越したことはない・・・と、思ったからです。


そして、後で思ったことですが、万が一にも、夫婦で二人とも思い副反応が出て寝込んでしまう可能性もあったことを考えると、同じ日に予約をせずに、あえてずらすべきだったと反省した次第です(苦笑)


<まとめ>

日本とは違うと思うので、あまり参考にはならないかも知れませんが、ミラノのワクチンセンターで接種した詳細をレポートしました。


他の都市や州によって多少の違いはあるでしょうけれど、私と同じように、イタリア在住の日本人で接種を終えた方が口をそろえて言った感想は・・・「イタリアにしてはスムーズ!」「イタリアやればできる!」「よくオーガナイズできてる!」といったものでした。

ほとんどの在イタリア日本人は、これまで役所の手続きに始まり、警察、銀行・郵便局などでも散々大変な思いをしてきた人が多いからこその感想でしょう(苦笑)


以上、レポートだけで長くなってしまったので、その後のイタリアの状況などは別途ブログに上げたいと思います。



更新日:2021年6月11日

日本では、昨日(5月24日)から東京と大阪で、高齢者(65歳以上)を対象に「大規模接種センター」でのワクチン接種がスタートしましたね。

東京オリンピックまで2ヶ月(本当に開催できれば)を切った今、これで状況が急速に好転してくれたら…と、様々な疑問を持ちながら日本のニュースを垣間見ていました。


今日は、イタリアでのワクチン接種予約を自分で実際にやってみて、改めて感じたことを記事にしたいと思います。


<イタリアでのワクチン接種予約>

イタリアで最初に接種が始まったのが、昨年の12月27日です。前々回のブログでも触れましたが、まずは医療従事者、高齢者施設の入所者とスタッフ、軍・警察関係者と学校教職員などの優先接種に続き、一般の80歳以上の高齢者から年代順に進みました。

その後のスケジュールは:

 ◎4/ 2~ 75-79歳(70代後半)

 ◎4/15~ 70-74歳(70代前半)

 ◎4/22~ 60-69歳

 ◎5/10~ 50-59歳

 ◎5/20~ 40-49歳(☜現在はココ)

という区切りで、接種予約を受付けてきています。


これ以外に優先されているカテゴリーは:

・国が指定する疾患(肝臓病、糖尿病、呼吸器疾患、心臓病、腫瘍など)の患者

・重度障害者

・16-59歳で医師に接種が必要と判断された人

さらに、これら持病のある人や障がい者、医師に必要と判断された人が接種を受ける場合、同居や介護をする家族3人までが一緒に接種できる仕組みになっています。本人のケアをする人の負担を減らそうという目的で、とても合理的ではないかと思います。


(※日本では、まだワクチン接種を行なう側の医療従事者の接種が完了していないことや、65歳以上を高齢者として一括りにしていることが気になります。)


では、接種の予約方法について(州ごとに多少の違いあり)、例として私の住むロンバルディア州での手順をご紹介していきますね。

以下は、州の公式ホームページの画面を、Googleサイトで日本語に自動翻訳してスクリーンショットを撮ったものです。

オンラインワクチン接種予約
<ロンバルディア州のワクチン接種予約画面トップページ(日本語で表示)>

まず、左側にあるイタリア語~ロゴとしてデザイン化されているためか、自動で翻訳されなかった部分“Più siamo, prima vinciamo.”は、ロンバルディア州の接種キャンペーンの標語で、意味は「接種する人が多いほど、早くウィルスに勝てる」です。

そして、右側の枠内に、現在予約を受付けているカテゴリーの一覧が明示してあります。

(※学校関係者と医療従事者は最初から下段に別枠になっているのも分かります。)


ここで「ワクチンを予約する」という緑色のボタンをクリックすると、健康保険証番号と個人納税番号(日本でいうマイナンバー)を入力する画面になり、次の画面で居住地の自治体や郵便番号、生年月日と携帯電話番号などを入力して進むと、居住地から近い予約可能な接種会場と日時が選べる画面になります。


ちなみに、個人納税番号には生まれ年の情報が含まれているので、この時点で予約対象の年齢に達していない場合はじかれますし、架空の番号での予約は絶対に不可です。


会場と日時を選択すると、入力した携帯番号に暗証コードが送られてくるので、そのコードを入力して認証すれば予約完了です。すぐにQRコード付きの予約番号が表示されますので、その画面を印刷すれば予約確認書になりますし、同時に携帯電話にも予約番号と一緒に予約日時と会場名が書かれたSMSが届くので、印刷ができなくても大丈夫です。

この時に、ワクチン接種をするにあたっての同意書や注意事項がリンクされているので、事前に内容を確認しておくことができます。

同意書については、会場で記入することもできますし、自宅で印刷して予め記入しておくことも可能です。


我が家は、夫が予約開始日時前にアクセスしたらフライングで始まっていた(笑)ので、すぐにオンラインで予約を試みました。タイミングが良かったのか、サイトへの接続もスムーズだったので、ものの2-3分で予約が完了しました。

(一回目の接種は来週頭の予定なので、改めてレポートしたいと思います。)

後で友人から聞いた話では、開始日の朝の時間帯はアクセスが集中して繋がりづらかったそうですが、少し時間をおいたら簡単に予約ができたとのことです。


イタリアでは、予約のための「ワクチン接種券」なるものは各自に送られてきません…つまり、予約の仕方や受付開始日時などの情報は、政府広報やテレビやネットのニュースをチェックして得るしかないのです。

必要な社会サービスを受けるためには自ら動かなければならない、いわゆる「申請主義」のイタリアと、必要なものはなんでも(アベノマスクも!)自宅まで届けてくれる日本との大きな違いですね。


では、自宅にコンピューターやスマートホンがなかったり、インターネットが使えない世代の高齢者はどうやって予約をするのでしょうか?同じく予約サイトを日本語表示してみた以下の画面を見て下さい。

ワクチン接種の予約方法(ロンバルディア州HPより)

下の段の左から:

◎フリーダイヤルでコールセンターに電話をかける(日本では自治体によっては有料の電話番号のため、長時間つながらずに電話料金が高額になったケースもあるとか!)

◎郵便局のATM端末(Postamat)で予約⇒イタリアの健康保険証はICチップが組み込まれたカード型なので、それを挿入し画面の案内に従って進める

◎郵便配達員を通して⇒自宅から外出が難しい独居の高齢者には心強い!


その他、州によっては薬局で直に予約ができるところもあったり、首都ローマのあるラッツィオ州では、昨日から薬局で接種ができるようになったとニュースで言っていました。


さて、ここで改めて日本の予約システムに対して疑問符がたくさん生まれてきました💦


ワクチン接種券は本当に必要だったのか?!

⇒各人に接種番号を割り符って郵便で送るという、各自治体の手間・労力と経費(紙代や郵送費)を考えると、非常に無駄ではないかと思います。果たして、これは省略できなかったのでしょうか?

また、日本の報道では、予約システムが複雑で分かりにくいため、本人の代わりにオンラインで予約をしてくれる子供や孫がいない人は、なかなか繋がらない電話をかけ続けるしかなく、なかには市・区役所に直に出向いたり、最寄りの病院に駆けつける高齢者もいたと聞いています。また、弱みに付け込んで「予約代行詐欺」まで出てきているという始末です。


なんのためのマイナンバー!?

⇒政府が長年に渡り温めてきたマイナンバー制度って、始まってから5年以上が経っているかと思います。昨年の特別給付金の時にも思ったのですが、デジタル化がまったく進まずに、未だに紙媒体で申請書を郵送するとか…日本はいつの間に他の先進国から遅れをとってしまったのでしょうか?

ちなみにイタリアでは、私が移住した10年前の時点で、すでに健康保険証がIC化されていて、個人納税番号(日本のマイナンバー)と紐づけられていました。



<イタリアのワクチン接種状況>

5月23日現在のイタリアの接種状況ですが、総接種数は3千万回を超え、一回以上のワクチン接種者は2千万人超(人口の3分の1、70歳以上では83%)、二回の接種が完了している人は1千万人超(人口の17%)です。ここのところ接種スピードが加速しているようで、先週7日間で約350万回(一日平均で50万回)が実施されているのですが、それでも目標値までまだまだです。


ちなみに、イタリアのニュース報道では、ワクチンの接種状況がリアルタイムで表示されていて、刻一刻と数値が変化していく様をみることができます。下の画面の右上がそれになります。表示中の数値は、少なくとも一回の接種が終わっている人数です。

5月21日の夕方のニュース画面を筆者が撮影したもの

上の写真は、5月21日にイタリア(G20議長国)及びEUの共催でオンライン形式で開催された「グローバル・ヘルス・サミット」でドラギ首相が演説をしているところで、ローマからのライブ映像のテレビを撮影しました。

このサミットの目的は、新型コロナウイルス感染症の世界的な対応から得られた経験と教訓を共有し、今後の対応における国際社会の対応を一層強化することで、「世界健康安全保障」をテーマに議論が行われた模様です。


ちなみに、日本からは、菅首相がビデオメッセージで参加したらしく、その動画(いつものように原稿を読み上げた四角四面のメッセージ)が外務省のHPに掲載されていました。


先日たまたま目にした報道で、英国は昨年の夏からタスクフォースを組んで、ワクチンの確保に動き始めていたと知りました。


日本も一年前に、オリンピックの延期が決まった時点で、ホスト国として他国に先駆けて水面下でワクチンの確保に一早く動いていたら...そして、スムーズな接種計画とそのためのシステム構築をしていたら...少なくとも今のような医療のひっ迫や医療従事者の疲弊は回避できたのではないでしょうか?!

なぜ出来なかったのか❓やらなかったのか❓・・・❓

疑問符が次々と頭の中に湧いてきます。



<イタリアの感染状況の推移>

それでは、イタリアのその後の感染状況の推移です。(この記事は執筆時5月25日現在の情報を基に書いています)


以下、過去4週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりの数値となります。 


   * 4/23- 4/29 感染者数:12,609 死者数:312 回復者数:17,080

   * 4/30- 5/ 6 感染者数:10,427 死者数:246 回復者数:15,311

   * 5/ 7- 5/13 感染者数: 8,137 死者数:212 回復者数:16,039

   * 5/14- 5/20 感染者数: 5,586 死者数:152 回復者数:12,080 


5月に入ってから、ようやく顕著に減少傾向が目に見えてきました!一日あたりの新規感染者は、今日まで16日連続で1万人を切り、5,000人を切る日も何日かありました。昨日は月曜日で少ないとはいえ、およそ8か月ぶりに3,000人を下回りました!そして、死者数も5月16日には7ヵ月ぶりに100人を切りました!


これらを受けて、下の写真のように、今週からはイタリア全土がイエローゾーンになっています!イタリアの実効再生産数も、Rt.=0.78と1を大きく下回りました。

ちなみに、イエローから危険度無しのホワイトになる条件には、人口10万人当たりの新規感染者数が、3週続けて50人以下になることがあげられています。

そして、ニュースの報道では、来週にはホワイトになる予定の州が3つあり、このまま順調にいけば、順次ホワイトゾーンが増えていくだろうと言われています。

最新(5/24~)の危険度別イタリア色地図

さらに、ここ数日は、感染者や死者数が桁違いに少ないと思っていた日本と、数字的にほぼ変わらなくなってきていることにも驚いています。

例)5月23日のデータ:

 新規感染者数  死者数   重症者数 

 日本    4,047人    62人   1,304人 

 イタリア  3,993人    72人   1,410人 


ちなみに、日本はいまだにPCR検査数がイタリアと比べても桁違いに少ないので、無症状の陽性者が実際にはもっといるだろう、と言われていることも気になります。



<イタリアのロードマップ>

この1年3ヶ月で、繰り返し行なわれてきたロックダウンや経済活動の規制を経験してきたイタリアですが、昨年との大きな違いは、ワクチン接種が進められていることです。

政府や自治体も慎重になりつつも、「段階的な経済活動の再開」から「再始動の加速化」を視野に入れているように見えます。


以下が、新たに確定した今後のスケジュールです。

◎夜間外出禁止令

*5/19~ 夜間外出禁止の時間帯が23時-翌朝5時に(これまでは22時)

 6/ 7~ 0時-翌朝5時

 6/21~ 完全解除(予定)


◎ショッピングセンターの週末営業

*5/22~ 生活必需品以外の店舗も営業可(これまでは平日のみだった)


◎スポーツ・イベント関連

*5/24~ スポーツジムが再開(6/1~の予定が前倒し)

*6/ 1~ 屋外でのスポーツイベントが可能(最大1,000人まで)

*6/15~ テーマパークの営業再開

      室内レセプション(結婚式など)が可能 ※条件付き

*7/ 1~ 屋内のスイミングプール、スパ、ゲームセンターなどの営業可能

      屋内でのスポーツイベントが可能(最大500人)


※ナイトクラブやディスコの営業再開については、現在テスト中


こうして、ロードマップを示されることで、関連施設や経営者とそれに携わるスタッフは、目標を立てることができ、再開に向けての準備や心構えができます。


まだ、ロックダウンが完全に解除された訳ではありませんが、長きに渡る夜間外出禁止令にも、罰則があったからとはいえ遵守してきたイタリア人~ここまでよく頑張ったと思います。「あと、もう少しの辛抱」と「ワクチンとの相乗効果」で、このまま経済が順調に再始動してくれることを祈るばかりです。


飲食サービス業も、いよいよ来週からのイートイン再開に向けて、入念に感染対策を整え、期待感を持って準備中のようです。

ちなみに、飲食関係に従事している友人や知人たちは、ロックダウン中も給与の約8割が政府から直接支払われていたため、失業することなくステイホームをしながら再始動を待つことができたそうです。



<まとめ>

日本は、国民の自主的努力に頼る政策にも限界が来ているように思われ、ロードマップを示さないまま緊急事態宣言の延長を繰り返すだけでは、国民の不安や不満が募る一方です。これ以上に事態が悪化しないように、積極的な政策の推進を願ってやみません。


以上、あくまで個人の主観ですが、海外在住の一邦人からみた日本の将来を危惧する意見として記しておきたいと思います。最後まで目を通して頂き、ありがとうございます。



更新日:2021年5月22日

イタリアのサッカーシーズンもそろそろ終盤に差し掛かり、あと5試合を残すばかりとなった先週末のこと。。。2月の中旬から今シーズンの首位を独走していたイタリアのビッグクラブの一つ「FCインテル」(本拠地ミラノ)が土曜日に勝利し、日曜日に2位につけているチームが引き分け以下で、早くも今シーズンの優勝が確定することになっていました。

(※日本と違ってヨーロッパでは、シーズンが夏に始まって年を跨ぎます。)


優勝すれば2010年以来11年ぶりという、インテルのサポーター(通称インテリスタ)にとっては、念願の待ちに待った瞬間だったのです。それはもう”お祭り騒ぎ”になるに違いありません…

そして、5月2日(日)に優勝が決定すると、予想通りにミラノの街中はインテリスタで溢れました💦


イタリアの国民的スポーツであるサッカーは、1929年に現在のプロサッカーリーグ(日本でいうJリーグ)の形になり、以来トップリーグのセリエA(20クラブ制)に60のクラブが入れ替わり所属してきましたが、インテルはその歴史上で一度も下部リーグに降格経験のない唯一のクラブであり、しかも1908年発足という歴史ある名門クラブなので、当然ながら熱狂的なサポーターも数多くいます。


今季の優勝が19回目と、ライバルクラブのACミラン(18回優勝)のそれを上回ったことも、サポーターとしてはこの上なく嬉しかったのでしょう。

加えて、ミラノのあるロンバルディア州が、4月26日から約2か月ぶりに(レッド⇒オレンジを経て)イエローゾーンになっていて、気分的にも緩みが出ていたことも心理的に影響したのかと思います。


まずは、そのサポーターたちの歓喜の弾けっぷりを下の写真(スライドショー)でご覧ください。

【インターネットニュースより】※右の>印をクリックすると複数イメージが見られます


最初の8枚の写真はミラノのシンボル・大聖堂のあるドゥオモ広場に大集結しているサポーターの様子、9枚目はスタジアム周辺に車を走らせるサポーター、10-11枚目はスフォルツェスコ城前の広場に集結しているサポーター、そして12-13枚目は夜のドゥオモ広場の様子(ちなみに22時以降は夜間外出禁止)。。。


ニュースで発表された数字は、ドゥオモ広場だけで約3万人のサポーターが集まったと言われていますが、ミラノ市内に繰り出したすべてのサポーターの数を集計したら、おそらく、その倍以上にはなっていたかも知れません💦


実はこの様子、日本の報道番組でも「超濃厚接触状態」と紹介されていました(苦笑)

あちこちで焚かれる発煙筒や、中にはマスク無し(あるいは顎の下)の状態で大騒ぎしている人も!

”歓喜というより狂喜”に近いこの様子が、早々にYouTubeにアップされていたので、よかったら動画で確認してみて下さい👇


いかがですか?

まるで、スタジアムにサッカー観戦にいっているような臨場感がありませんか?!


余談ですが、私(と主人)はライバルクラブの「ACミラン」のサポーターでして、最後に優勝したのは10年前の2011年。ちょうど私がミラノに移住した年だったのですが、クラブの優勝パレードを見に、このドゥオモ広場まで旗を持って駆けつけました!(笑)


その翌年から、トリノを本拠とする名門クラブ「ユヴェントス」が脅威の9連覇(優勝36回)を成し遂げていたので、宿敵クラブの10連覇を阻止したという意味でも、インテルサポーターの歓喜に輪をかけたのではないでしょうか?!


しかし!いくらイエローゾーンになったとはいっても、今はまだコロナ禍です!!

夕方~夜のニュースでこの模様が放映されると、すぐに問題視する意見も大きく取り上げられました。


それも当然です。せっかく、ここのところ感染状況が落ち着いてきて、ようやくイエローゾーンになったのに、これでまた感染者が急増したら、あっという間にレッドゾーンに逆戻りしてしまいます(悲)


こちらの前々回のブログでも触れているのですが、イエローゾーンだった2月下旬に行なわれた試合「ミラノダービー」(ミラノを本拠とする2クラブの伝統の一戦)の日に、スタジアムの周りに集結した両クラブのサポーターたちが、今回と同じように超濃厚接触状態で大騒ぎをし、その結果、3月からオレンジゾーン、その2週間後にはレッドゾーンになって、それが1ヶ月も続いたのです!

もちろん、感染状況が悪化したのは、このミラノダービーだけが原因ではないのでしょうけれど、今回のお祭り騒ぎを見て、誰もがあの時のことを思い返したに違いありません。


そして、市民からの批判の声は、SNSなどを通じて「こうなることが予測できたのに何の対策も講じなかったミラノ市長」に集まりました。

例えば、ドゥオモ広場を封鎖して、その代わりに8万人が収容できるスタジアムを開放する...などの措置は取れたはずだと言う人も多くいましたが、「どうやったところで、サポーターが街に繰り出すのを止める手立てはなかった」と、市長も反論していました。


このサッカー絡みの騒ぎに、野党のリーダーが批判を上乗せして、政治論争が繰り広げられるあたりが、「カルチョの国イタリア」だなぁ~と妙に納得してしまいました。

(※イタリア語でサッカーのことをカルチョと言います)



<イタリアの感染状況の推移>

では、イタリアのその後の感染状況の推移です。(この記事は執筆時5月5日現在の情報を基に書いています)


過去4週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりなのでお間違えなく!! 


   * 4/ 2- 4/ 8 感染者数:15,788 死者数:431 回復者数:18,093

   * 4/ 9- 4/15 感染者数:15,508 死者数:439 回復者数:19,969

   * 4/16- 4/22 感染者数:13,541 死者数:346 回復者数:18,599 

   * 4/23- 4/29 感染者数:12,609 死者数:312 回復者数:17,080


ご覧の通り、4月中は引き続き(少しずつですが)減少傾向にあり、毎週月曜日は特に感染者が少なくて1万人を切っていたのですが、昨日までは3日間続けて1万人を切り、これは昨年の10月中旬以降、6.5ヵ月ぶりのことです。そして、死者数も連日300人前後だったのが、5月2日には144人と約半年ぶりに200人を切りました。


これらを受けて、前述のように、ミラノのあるロンバルディア州でも、4月26日からは約2か月ぶりにイエローゾーンになっています。


最新の州ごとの危険度別色分け地図は、以下の通りです。

最新(5/3~)の危険度別イタリア色地図

3月にはイタリア全土がほぼ真っ赤だったのが、上の色地図では、ほとんどの州がイエローになっているのが分かります。唯一レッドなのは、スイスとフランスの国境に接した特別自治州ヴァッレ・ダオスタのみで、南部3州とシチリア島&サルデーニャ島がオレンジになっています。



<段階的な緩和に向けて>

最後に、新たな首相令・保健省令で発表されている「経済活動の再開」に向けての今後の主なスケジュールや規制措置は以下の通りです。(いずれもイエローゾーンの場合)


◎4/26~

*飲食サービス業は、屋外での着席の場合のみ、22時まで営業可能(店内は不可)


*イエローゾーンとホワイトゾーンの州同士なら、州を跨いでの移動が可能

(以前は友人や親戚などの私的住居への訪問が州内で一日に一度だけ4人まで許可されていた)


*劇場、映画館、コンサートが予約制で開館可能(収容人員の50%まで)⇒屋外は最大1,000人、室内は500人が上限


*屋外でのあらゆるスポーツ活動が可能(更衣室の使用は禁止)


左:歩道の街路樹の間に設けられた席  右:ショッピングセンターの通路に設けられた席

◎5/15~

*屋外のスイミングプールの営業が可能


◎6/1~

屋内の着席での飲食サービスが可能(ただし18時まで)


*スポーツジムの再開が許可(1年3か月ぶり!)


◎6/15~

*見本市や展示会の開催が許可


◎7/1~

*大規模会議や学会の開催が許可


上記スケジュールは、いずれもイエローゾーンであることが大前提なので、今後の感染状況が悪化してオレンジ以上に戻ってしまった場合には適用されません。


そして、先程のニュースでは、ワクチン接種証明かPCR検査の陰性証明書があれが、5月15日以降の海外からイタリアへの旅行者を受け入れることが正式に決まったと報道されていました。このことについては、詳細を確認してまたレポートしたいと思います。



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