イタリア人の連帯意識
- 舞緒ルイ
- 2020年7月14日
- 読了時間: 3分
先日いつも行くスーパーマーケットへ買い物へ行った時のこと。。。入口でこんなものを見かけました。

【スーパーマーケットの入口にあったショッピングカート】
置いてあったのは、買い物する時に使用するショッピングカートと立て看板。そこには「買った品物を一つ寄付しよう~二倍の買物で心は豊かに」と書いてあります。

【ショッピングカートの中には・・・】
カートの中には、パスタやお米、ビスケット、オリーブオイルやコーヒーなどの食料品の他、赤ちゃんのおしり拭きシートなどがランダムに入っていました。
意図されているのは、余裕のある人は同じものを2つ買って、1つを困っている人に分け与えようというものです。
実はこれ、ロックダウン中の4月初旬に、イタリア各地のスーパーマーケット等で拡散した運動で、テレビやネットニュースなどで何度も目にしていました。

【イタリア各地で見られた運動】
コロナ禍のイタリアで、代表的なスローガンとなった虹のイラストと<Andrà tutto bene>(直訳すると「すべてうまくいくだろう」という意味のイタリア語。転じて「今はいろいろあるかもしれないけれど、この先なんとかなるよ!」という、前向きな気持ちを表す)というフレーズとともに、以下のように書いてあります。
<Chi può metta, chi non può prenda>⇒「買えないひとのために、買えるひとが入れましょう」
この運動は<Spesa Sospesa>と呼ばれ、直訳すると「保留の買物」なのですが、この名称の元になったのは、ナポリで古くからある習慣<Caffè Sospeso>、つまり保留のコーヒーです。
ナポリのバールでは、一杯のコーヒーを飲む時に、余裕のある人が二杯分の代金を支払い、貧しくてコーヒー代も支払えない人のために使ってもらうという制度が古くから根付いていて、その習慣が今も残っています。 誰かが余分に支払ってくれたおかげで、困っている誰かがコーヒーを飲むことができるという、イタリア人の連帯意識から生まれた思いやりの習慣なのです。

【ナポリのバールに設置されているレシート入れ】
「ここにレシートを入れて下さい。それを必要とする人が受け取るでしょう。」
(観光客が来る昨今を反映し、フランス語と英語でも表示がありますね。)
今回のコロナ禍で良く耳にした言葉の一つに<solidarietà>があります。連帯、団結、互助といった意味になります。イタリア人は意識的に使っているように感じました。
ロックダウンが解除され、ウィルスと共存する新しい日常が始まって2ヶ月余りが経ちましたが、こういった助け合い運動が一過性のもので終わらないよう、あえて今このショッピングカートを設置した地元のスーパーマーケットの想いが、多くの人に届けばいいな~と思いました。
<イタリアの状況の推移>
では引き続き、イタリアの状況レポートです。(この記事は執筆時7月14日の現地12時現在の情報を基に書いています)
過去3週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。
*6/19-6/25 感染者数: 221 死者数: 23 回復者数: 883
*6/26-7/02 感染者数: 179 死者数: 16 回復者数: 625
*7/03-7/09 感染者数: 200 死者数: 15 回復者数: 299
ここへ来て、新規感染者数がまた停滞・微増してしまいました💦
日本では、東京を中心に新規感染者数が増え始めているので、この1週間くらいはイタリアの方が少ない日が続いているのですが、日本と同じように、どこかで集団感染が発生したりすると、数値がグンと上がってしまう状況です。
国も自治体も企業も個人も、世界中のすべての人が、自分自身と大事な人を守るために、ワクチンが開発されて世界に行き届くその日まで、一人一人ができることをして気をつけて過ごしていくしかないのでしょう。
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