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コロナ禍のイタリア式クリスマス

  • 執筆者の写真: 舞緒ルイ
    舞緒ルイ
  • 2020年12月4日
  • 読了時間: 6分

イタリアが2度目のロックダウンに入って1ヶ月が経とうとしています。

この間に、3つのゾーンに色分けされたイタリア地図も少しずつ様相を変えてきました。11月6日から実施された措置は5日後には更新され、オレンジゾーンに新たに3州が加えられて5州に、レッドゾーンに1自治県(1/2州)が加わり、その4日後の15日からは、オレンジゾーンに3州が加わり8州に、レッドゾーンに2州が加わりました。さらにその1週間後にはレッドゾーンにもう1州が加わり、イタリア20州の約40%にあたる地域がロックダウンの状態となっていたのです。


つまり、規制の度合いが一番緩いイエローゾーンは、2週間余りのうちに地図上でもどんどんと減っていっていたのですが、11月29日からは感染度合いが少し落ち着いた地域は、オレンジゾーンの2州がイエローに昇格し、レッドゾーンからは3州がオレンジゾーンとなりました。


当初は15日毎に感染状況を見直すとされていましたが、このように1ヶ月の間にも目まぐるしく地図の色が塗り替えられていたのです。最新の状況は、以下の通りです。

【在イタリア日本国大使館のHPより】


この表にもあるように、ミラノがあるロンバルディア州は、今週の日曜日からオレンジゾーンとなり、完全なロックダウンからセミ・ロックダウンへと少し規制が緩んだのです。これは、感染状況が少しだけ落ち着いてきたこともありますが、クリスマスを前に、商業都市ミラノの経済を回すことが一番の理由にあるのではと言われています。


実際に、国民の一部で囁かれていた噂は、クリスマスシーズンだけロックダウンを解除し、それが終わったら再びロックダウンに入るのでは?というものだったと知人から聞きました。

ところが、実際に政府が決めた対策は、そんな生易しいものではありませんでした💦



<政府が決定したクリスマスシーズンの対策>

11月4日に発表された首相令の有効期限が12月3日までだったため、コンテ首相は昨夜、来たる「クリスマスシーズンに向けた新たな首相令」を発表し、改めて国民に現状と今後の対策を訴えました。

【新首相令で年末年始の移動制限が発表】


記者会見当日(12月3日)の新型コロナウイルスによるイタリア国内の1日の死者数は、993人過去最多となっていて、第1波の時の「医療崩壊」のような現象が再び起きているのではないかと心配せずにはいられません。

夏の間(7~9月)は1日平均10人程度に落ち着いていた死者数が、10月に入ってから80人、11月は530人(いずれも1日平均)と急増していて、第2波の抑え込みに時間がかかっているのです。

そのため、クリスマスシーズンも以下の通り制限措置が強化されることになりました。


☆移動制限・外出制限

12月21日から来年1月6日まで、居住している州や県以外への移動ができなくなるほか、別荘などのセカンドハウスへの移動も禁止となり、同居人以外の人を家に招かないよう要請。

・クリスマス当日と翌祝日(イタリアでは毎年25、26日が連休)並びに1月1日(元日)については、市外への移動(別荘が市外の場合はそれも含む)も禁止。

・全土において22時~翌朝5時の間は外出禁止となり、12月31日の大晦日については22時~翌朝7時まで外出禁止。

・国内のスキー場については、本日4日より1月6日まで閉鎖。

※これらの移動禁止の例外事項は、証明される仕事上の理由、必要性のある状況又は健康上の理由に動機付けられる移動及び自身の住所・居住地・居所への帰還のみ。


☆飲食サービス業

・イエローゾーンでは毎日5時~18時まで営業可能。1テーブルにつき、同居でない者の着席人数は4人まで。18時以降は店内での飲食及び屋外での飲食も禁止。

・オレンジ及びレッドゾーンでは、5時~22時まで持ち帰りサービスのみ営業可能。宅配サービスは常に許可される。

・家庭での昼食・夕食については、制限を課すことはできないが、非同居者の自宅への招待を回避することを強く推奨。


☆小売店

・12月4日から来年1月6日まで、小売店は21時まで営業可能。

・土、日、祝日、祝日の前日には、市場、ショッピングモール、アーケード商店街等の商店は、薬局、ドラッグストア、衛生用品販売店、食料品取扱店、タバコ屋及び新聞雑誌売店を除き閉鎖。


☆宿泊施設(ホテル等)

・宿泊施設は毎日営業可能であるが、12月31日夜は、宿泊施設併設レストランにおける年越しの夕食会の企画を禁止。宿泊施設併設のレストランは18時に閉店。

・宿泊施設では、12月31日18時から翌1月1日7時まではルームサービスのみ可能。


首相は会見の中で、実効再生産数については、Rt=0.91と1を下回ってはいるので、このまま皆が努力を続ければ、2週間後にはイタリア全土がイエローゾーンになるだろう...と言及しました。


さらに首相は、「1月にも到来する恐れがある第3波を防ぐためだ」と国民への理解を求めました。


国民の8割がカトリックのイタリアでは、宗教的な意味でも、一年のうちで一番大切なイベントであるクリスマス☆日本のお正月のように、実家に帰省して家族や親戚が一堂に会してお祝いする日なのです。

そのクリスマスを、今年は同居の家族としか過ごせない=つまり、孫たちが祖父母に会いに行くこともできないということになります。


今年はクリスマスの次に大事なイベントである春の復活祭も、ロックダウンの真っ只中で移動や外出が規制されていたため、クリスマスに対する想いは殊の外に強かったはずです。


ミラノでは、来週の月曜日が守護聖人の祝日(聖アンブロージョ)で、翌日が聖母無原罪の御宿り(インマコラータ)の国民祝日のため、本来なら明日から4連休です。

毎年ドゥオモ広場の巨大ツリーへの点灯式が行われたり、スカラ座がシーズンの初日を迎えたりと、一年で最も煌びやかでワクワクする時期なのですが、残念ながら今年は...💦


でも、先日のニュースで、今年はコカ・コーラがスポンサーとなり、大聖堂広場には恒例の巨大ツリーが建設されていると知りました。せっかくのツリーも、この移動&外出制限で実際に目にできる人はごく一部となってしまいますね~🎄



<イタリアの感染状況の推移>

では、イタリアのその後の感染状況を数字で比較してみたいと思います。(この記事は執筆時12月4日の現地9時現在の情報を基に書いています)


過去5週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。


   *10/30-11/ 5 感染者数:29,755 死者数:298 回復者数: 4,294  

   *11/ 6-11/12 感染者数:34,503 死者数:485 回復者数:10,774

   *11/13-11/19 感染者数:34,590 死者数:612 回復者数:15,890

   *11/20-11/26 感染者数:28,765 死者数:711 回復者数:23,167  

   *11/27-12/ 3 感染者数:22,138 死者数:741 回復者数:26,518


ご覧のように、新規感染者数については11月の3週目をピークに少しずつ減少していますが、死者数については今もなお増え続けているのが心配でなりません。


12月3日現在の累計感染者数は、166万人を超え、人口6千万人のイタリアでは、36人に一人が感染した計算となります。

また、累計死者数については、58,000人を超えていて、単純計算した致死率は約3.5%です。


自身が置かれている立場上、どうしても日本との比較をしてしまうのですが、人口が2倍いる日本の累計感染者数は約15.6万人でイタリアの10分の一、死者数は約2,500人で23分の一と本当に桁違いで少ないです(日本の致死率は1.6%)。

そのため、日本の数字を目にした時に、あまり驚かない事実に、自分の感覚が麻痺しているんだなぁと痛感しています。


第3波の感染者増に、連日ニュースや情報番組で、医療関係者の危機感と、それに対する政府や行政の温度差や無策ぶりが取り上げられているのを見ていると、日本の将来のあり方が不安でなりません。。。



<追記>

前回お知らせしたように、イタリアと日本の家庭事情により、今しばらく日本に留まることになりました。個人的には自粛をしながら気をつけて、いま自分にできる身の回りのことをしていきたいと思っています。



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