パンデミック宣言から一年後のイタリア
- 舞緒ルイ
- 2021年3月13日
- 読了時間: 7分
世界保健機関<WHO>が、新型コロナウイルスの感染拡大について、パンデミック(=世界的な大流行)になったとの認識を示してから一年が経過しました。
世界全体の感染者や死者の増加ペースはピーク時よりは緩やかになっているものの、感染状況がリバウンドしている国もあり、変異ウイルスへの対応やワクチン接種のペースの加速が課題となっています。
3月12日の時点で、世界全体で新型コロナウイルスの感染が確認された人は、1億1800万人以上、死者も260万人以上にのぼっています。
そして、ここイタリアはというと、3月5日時点で感染者数が300万人を超え(イタリアの人口の5%、20人に一人が感染している計算)、8日時点で死者数が10万人(感染者の約3.3%)を超えました。
私がこのブログで一年前に書いた記事を振り返ると、昨年の3月12日時点のイタリアの感染者数は約1.5万人(一年で200倍)、死者数者は約1,000人(1年で100倍)でした。
一年前のあの頃、いったい誰がこんな現状を予測していたでしょうか?!
私自身、このブログの連載が一年以上に及ぶとは考えてもみませんでした💦
こちらでは引き続き、イタリア(主にミラノ)からの現地レポートを続けていきたいと思っています。
<イタリアの感染状況の推移>
まずは、イタリアのその後の感染状況の推移です。(この記事は執筆時3月13日現在の情報を基に書いています)
過去3週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。
※1週間のトータル数ではなく、一日あたりなのでお間違えなく!!
* 2/19- 2/25 感染者数:14,718 死者数:298 回復者数:12,756
* 2/26- 3/ 4 感染者数:18,670 死者数:286 回復者数:11,198
* 3/ 5- 3/11 感染者数:21,414 死者数:316 回復者数:13,825
1月の2週目から2月前半までの6週間は、新規感染者数よりも回復者数の方が上回っていたので、1月下旬に一旦は50万人を切って減少し始めていた現陽性者数だったのですが、2月の後半から再び感染者数の方が上回るようになったため、陽性者数も増え始め、さらには重症者数も増えてきているという嫌な傾向です。
つまり、第二波が下げ止まりのまま、誰もが懸念していた「第三波」がついにやってきてしまったのです!!!
<地図上で見るゾーンの色分け>
イタリアでは、第二波の到来を受けて二度目のロックダウンが始まった昨年の11月以降、危険度に応じて、州ごとに色分けして規制措置を設定しています。その状況は毎週のように変わるため、この4ヶ月間でイタリア地図は頻繁に塗り替えられてきました。
ここ最近は、「レッドに近いオレンジ」つまり「濃いオレンジ」というゾーンも新たに設定され、学校が再び閉鎖(対面授業の禁止)されたりしていました。
また、政府が定める州毎の措置に加えて、各州の州知事の判断で県や市などの自治体ごとに細かい指定が行われていました(例:トスカーナ州はオレンジだけど、その中でシエナ県だけレッドなど)。
そして、この制度になって初めての「ホワイト」(危険度ゼロで規制なし)が、3月1日からサルデーニャ州に出されました。つまり、3色だったゾーンが5色に増えたのです。
以下は、昨日3月12日に発表された新たな危険度による色分け(ゾーン別措置)を地図上で示したものです。左側が12日以前、右側が来週月曜15日からです。

【左:3月12日時点/右:3月15日から】
ご覧のように、イエローが消えて、半分以上がレッドゾーンとなり、白のサルデーニャ州〔島〕を除いては、一目してイタリア全体に色が濃くなっているのが分かります。
一時期は、レッドゾーンが消えオレンジも5州だけ、残りの15州はすべてイエローだったこともあるのですが、第三波の到来により、こんな風に塗り替えられてしまったのです!
さらに政府は、来月初めのパスクワ(イースター)休暇の4月3~5日の連休に関しては、イタリア全土をレッドゾーンにすると発表しました。
つまり、昨年のクリスマスに続いて、イタリアで大事なイースターの行事を、外出せずに同居の家族のみでステイホームするよう求めているのです💦
<最近ミラノで起きていたこと>
前回&前々回と、イタリアの政権交代に関する記事を書いていたため、まったくリアルタイムではなくなってしまったのですが・・・
実は、2月からイエローゾーンになって浮かれていた多くのミラネーゼたちは、すっかり気を緩めて規制を無視し、感染者が再び増えても仕方のないような行動をしていたのです(苦笑)
その一例が、2月21日に行なわれたサッカーの一大イベント「ミラノダービー」に集結したサポーターたち。。。
サッカーのミラノダービーと言えば、サッカー好きの人なら誰もが知っているほど重要な一戦!~ミラノにあるサンシーロ・スタジアム(イタリアサッカーの聖地とまで言われる)を拠点とするミラノの2つのクラブ、「ACミラン」(サポーターはミラニスタと呼ばれる)と「FCインテル」(同じくインテリスタと呼ばれる)の直接対決なのです。
※一時期は、ミランに日本の本田圭佑選手、インテルに長友佑都選手が所属していたので、日本でもその名を聞いた事がある方も多いのではないでしょうか?
現在、イタリアの各種スポーツイベントは、基本的に〔無観客〕で開催されているので、
本来なら、いくらミラノダービーとは言えども、ステイホームしてテレビやパソコンで大人しく観戦していなければいけないのですが、タイミング悪く?この対決がリーグの首位攻防戦となってしまったため、両チームの熱いサポーターたちは家でジッとしていられなかったのでしょう(苦笑)
スタジアムまで行けば、サポーター同士で盛り上がれると思ったのか、あるいは、SNSで集結が呼びかけられたのか・・・結果はご覧の通りです💦

【スタジアムに集結したミラニスタたち】
スタジアム観戦と同じように、応援旗を持参して翻し、発煙筒を炊いて盛り上がっているではないですか!

【同インテリスタたち】
そして、よく見ると、マスクはしていてもあごの下まで下がっています(苦笑)この様子は、もちろん当日のニュースでも流れていましたが、みな大声で叫んでいました!!
果たして、どれだけの数のサポーターが押し掛けたのかは分かりませんが、上の写真を見ただけでも、まるで暴動のような騒ぎ・・・とても警官の手には負えなかったのが想像できます。
その翌週末の様子が、もう一つの例です。
昨年の11月から約3ヶ月間、再び外出規制や移動制限が続いてストレスが溜まっていたのは、サッカーのサポーターたちだけではなかったのです。
2月にオレンジからイエローゾーンに緩和されたことで、カフェやバール、レストランでのイートインが可能(ただし18時まで)となったミラノでは、久しぶりに友人と会っておしゃべりしたり、仲間と集まって遊んだりできるようになったため、街には人が溢れ出していました。
ところが、再び感染者が増え始めたことで、3月からまた元のオレンジに逆戻りということになり、また暫くの間は自由が制限されると思ったミラネーゼたち。。。そりゃあ、羽目を外したくなるでしょう😅
イエローの最後の週末の日曜日(2月28日)の人出は、予想通り、いや予想以上でした💦

【ナヴィリオの運河沿いに屯する若者たち】
陽気も暖かくなってお天気も良かったので、若者の集まるナヴィリオ地区やミラノの中心部だけでなく、ミラノの街のあちこちで人混みができて賑わっていました。
上の写真を見ても分かるように、対人距離は1メートルも取れていませんし、マスクを外している人も少なくありません。
もっと酷かったのは、夜の様子です。カフェやバールの営業は18時まででも、下の写真のようにビールを売る露店が出ていたり、音楽をかけて踊り出す若者までいて、まるで野外のクラブと化していたようです💦

【ナヴィリオ地区の夜の様子】
自然発生的にこれだけの人が集まってしまうと、やはり警官のコントロールは及ばなかったそうです。
これがイエローゾーンだった頃の2月後半のミラノの様子です。この結果が、今の再感染増の数値に反映されているのです。
そして、来週からミラノのあるロンバルディア州も、再びレッドゾーンになることが決まりました。つまり、ロックダウンです。
仕事や健康上の理由、また必需品の買い物に行く以外は、日中でも外出が禁止されます。飲食店もデリバリーとテイクアウトのみの営業となり、スーパーや食料品店、薬局などを除き、一般の商店もクローズ。つまり、いわゆるショッピングができなくなります。
こういった現象は、もちろんミラノだけではありません。上に掲載した地図を見ても分かるように、イタリア中のあちこちで起きていた結果、イタリア半島が真っ赤になってしまったという訳です…😢
先程のニュースでは、この週末レッドに変わる各地の美容院などは、予約が殺到していると言っていました。どうせ出かけられなくなるなら、髪型なんてどうでも良いだろうに…と思いませんか?
また、イエローからオレンジを飛び越えてレッドに変わることになったラッツィオ州~首都ローマはこの州の州都~ローマ市内のショッピングストリートには、人気店の外に行列ができている様子が報道されていました。でも、服やバッグを新調したって、どうせお洒落して出かけられないのになぁ。。。
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