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ワクチン打ってヴァカンスへ!

  • 執筆者の写真: 舞緒ルイ
    舞緒ルイ
  • 2021年6月15日
  • 読了時間: 6分

更新日:2021年6月25日

州や地域によって多少の違いはありますが、イタリアのほとんどの学校が先週から夏休みに突入しています。

新学年(新学期)が始まるのが9月中旬なので、丸々3ヶ月が夏休みという、日本では考えられない長さですよね。


昨年の夏は、春先から起きたコロナ・パンデミックとの闘いの先行きがまだ不透明で、イタリアでもヴァカンス・モード全開とはいかず、例年のようなヴァカンスを取らずに規模を縮小したり(例えば、いつもは海外旅行をしていた人々が国内旅行)、我が家のように予定をキャンセルしてどこへも行かなかったり・・・という感じでした。


今年はというと、まず何と言ってもワクチン接種が進んでいます。そして欧州全体では、この一年半に滞っていた経済の活発化を目指そうと、「欧州グリーンパス」(正式名称:EUデジタルCOVID証明書)いわゆる「ワクチンパスポート」が、いよいよ現実化しています。欧州委員会は、7月1日に運用開始する計画のための最終決定を先日発表しました。

※これらの詳細は、また別の機会に触れたいと思います。


ここのところ、幸いにして、欧州全体の感染状況が落ち着いてきていることに加え、昨年の反動もあってか、『ワクチンを打ってヴァカンスへ出かけよう!』という流れが一気に広まっている感じが見受けられます。



<イタリアのワクチン接種状況>

まず、6月15日現在のイタリアの接種状況ですが、総接種数は4千2百万回を超え、一回以上のワクチン接種者は2千8百万人超(人口の約48%)、二回の接種が完了(または一回接種型)している人は1千5百万人超(接種対象の12歳以上人口の約26%)です。


イタリアでは現在4種類のワクチンが運用されていて、以下が現時点での接種割合です。

①ファイザー製〔mRNAワクチン〕全体の69.3%

②アストラゼネカ製〔ウィルスベクターワクチン〕全体の18.8%

③モデルナ製〔mRNAワクチン〕全体の9.2%

④ヤンセン(ジョンソン&ジョンソン)製〔ウィルスベクターワクチン〕全体の2.7%


各州ごとに対応や方針は異なりますが、イタリア各地で、それぞれに工夫を凝らして接種を推進する動きが行われています。

例えば、「オープンデー」という基本的に事前の予約不要でワクチン接種が受けられる日を設けたり、「ジュニアデー」として12~17歳の未成年者を対象に接種を進めたり、「アストラナイト」とうたって、アストラゼネカ製のワクチン限定で夜間の時間帯に接種枠を作ったり。。。(アストラゼネカは、イタリアでも血栓症による死亡者が出たため、一時的に接種をストップして以降、再開後も不人気で避けられているため)


ロンバルディア州では、現在すべての年代(12歳以上)の人の予約が可能になっていますが、まだ若者の予約受付が始まっていない段階の時に、オープンデーに殺到する若者の映像をニュースで見た時には、やはり今年の夏休みに向けて、制限なく自由に旅行をしたいと思う気持ちの現われなのだろうと感じました。


イタリア政府は、8月中に全国民の70%の接種を目的としていて、そのために一日51万回の接種が必要だと言っているそうです。



<イタリアの感染状況の推移>

それでは、イタリアのその後の感染状況の推移です。(この記事は執筆時6月15日現在の情報を基に書いています)


いつものように、過去4週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりの平均数となります。 


   * 5/14- 5/20 感染者数: 5,586 死者数:152 回復者数:12,080 

   * 5/21- 5/27 感染者数: 3,958 死者数:140 回復者数:10,431

   * 5/28- 6/ 3 感染者数: 2,742 死者数: 78 回復者数: 9,468

   * 6/ 4- 6/10 感染者数: 2,101 死者数: 73 回復者数: 7,206


引き続き順調に減少傾向にあり、この3週間で感染者数も死者数も平均値が半分以下になっています。

比較対象を8週間前(約2ヶ月)の4月中旬に遡って週平均値を比べると、新規感染者数は約86%、死者数は約84%の減少となっています。

欲を言えば、感染者は3桁に、死者数は1桁になってくれると嬉しいなぁ...と思っていた矢先、昨日(6/14)の新規感染者数が907人と、昨年の9月1日以来、実に9か月半ぶりに1,000人を下回ったのです!

検査数の関係で、毎週月曜日は他の日よりも少ない数とはいえ、ほぼ毎日のように状況を注視している者にとっては、嬉しいニュースでした。


また、日本でも昨日、全国の新規感染者数が、3月22日以来(約3か月ぶり)1,000人を下回ったというニュースを聞いて、イタリアと日本の感染状況が、ここのところ不思議とリンクしているというか、数値的に似通っていて驚きました。


例)6月14日のデータ:

  新規感染者数  死者数  重症者数 

 日本     936人    60人    849人 

 イタリア   907人    36人    536人 


長きに渡って桁違いに感染者数も死者数も多かったイタリアが、ようやく日本と同じレベルの数値になってきた事は、逆に言うと、日本が緊急事態宣言を延長しているにもかかわらず、数値が下げ止まっているということでもあります。


日本では、職域接種が始まって、ワクチン接種が加速しそうだという期待感もある反面で、東京や大阪の大規模接種会場の予約が埋まらずにガラガラだというニュースを聞くと、オリンピックの開催も迫ってきている中で、不安材料も残ります。


さて、話題をイタリアに戻しましょう。


先月末の5月31日から、3ヶ月ぶりにホワイトゾーンに返り咲いたサルデーニャ州に加えて2州が、6月7日から、ヴェネト州(州都ヴェネツィア)やリグーリア州(州都ジェノヴァ)他2州もホワイトになり、合わせて7つの州がホワイトになったイタリア。実効再生数の平均も、Rt.=0.6を下回ってきました!

(※ホワイトになる条件:人口10万人当たりの新規感染者数が、3週続けて50人以下)


そして、今週からは、私の住むミラノがあるロンバルディア州をはじめ、首都ローマのあるラツィオ州ほか、5つの州と1自治体が新たにホワイトゾーンになりました!

危険度別イタリア色地図の変遷(6/7~&14~)

さらには、6/21からヴァッレ・ダオスタ州を除いた残りのイエローゾーンもホワイトになることが予測されていて、最後のヴァッレ・ダオスタ州も6/28からホワイトになるだろうと言われています。


ホワイトゾーンの定義は「規制措置なし」、つまり、6月末にはイタリア全土で事実上の規制(現時点でディスコとナイトクラブを除いて)が解除されることになり、昨年の11月から約8ヶ月間に及んだ「2回目のロックダウン」も、ようやく一段落となる予定です。


3ヶ月前には、真っ赤だったイタリア半島が、地図上ではなんとも涼しげに見えるではないですか!



<まとめ>

ワクチン接種が進んで、感染状況が好転してきているとはいえ、もちろん、ワクチン接種後もホワイトゾーンになっても、引き続き:

①マスクの着用

②対人距離

③手洗いの励行

この3点は守るように言われています。


周りを見ていても、人々がマスクをしていること以外は、日常の生活が戻ってきていることを感じますし、初夏の明るい日差しと共に、人々の表情も明るくなっている気がします。(実際にはマスクをしているので表情までは分かりませんが・・・)


一方では、来週からロックダウンの全面解除を予定していた英国が、デルタ株(インド由来の変異種)の流入で再拡大の懸念があるため、執行を4週間ほど先送りにしたというニュースが入ってきました。

この英国のニュースは、数週間後のイタリアになり得ないという不安がゼロではないことを考えると、人々の気持ちが緩みすぎずに再開の夏を楽しめること、そして何より、収束の秋を迎えられることを願うばかりです。




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