top of page

一年前のロックダウンとの違い

  • 執筆者の写真: 舞緒ルイ
    舞緒ルイ
  • 2021年4月9日
  • 読了時間: 7分

更新日:2021年4月11日

ヨーロッパでは3月28日(最終日曜日)からサマータイムに入り、今年はその日からイースターの聖週間が始まって、4月4日がイースター(=復活祭のことでイタリア語でパスクワ)の祝日でした。


このイースターの連休<4/3-5>は、イタリア全土がレッドゾーンに指定(つまり事実上のロックダウン)されていたので、昨年のクリスマスに続いて、イタリア人にとって大切なイベントが、多くの規制の中で行なわれることとなりました。


ちなみに、昨年のイースターは4月12日だったのですが、その頃に書いたブログを振り返りながら、同じロックダウンの状況にはあっても、色々なことが随分と違っていることを改めて実感しています。


※イースターは移動祭日のため、毎年カレンダー上も日程が変わるのですが、そのことについては以前のブログ記事(☞コチラ)をご参照ください。


※また、イタリアの一般的なイースターについて以前ご紹介している記事(☞コチラ)も良かったら読んでみて下さい。


<昨年と今年の大きな違い>

①マスクの入手が容易

 日本も一年前はマスクが瞬く間に店頭から消え、しばらくの間は入手困難だったと聞いていますが、ここイタリアでは日本のように元々マスクをする習慣がなかったので、それはそれは大変でした。

 こちらでも、昨年の夏くらいから、徐々に色々なマスクが出回り始めましたが、日本のようにウレタン製のマスクをしている人はほとんどいません。主流は不織布の医療用マスクですが、第二波に入った昨年の秋以降は、多くの人(特にテレビで毎日のように見かける政治家たちを中心に)がN95(欧州ではFFP2)などの防塵マスクを使用するようになりました。

 今年に入ってから(イタリアを4ヶ月ほど離れていたので、実際はいつからか不明)は、色々なカラーのものが輸入(ほとんどが中国製)され、随分と選択肢が増えました。

それまでは白(あっても黒)が中心だったので、最初は斬新に思いましたが、実際に手にしてみると、洋服とのカラーコーディネートや、その日の気分で替えられるので、ある意味で気分転換になります!

【カラーバージョンの防塵マスク】


②散歩や運動が可能

 一年前の時は、基本的に仕事や健康上の理由以外、またスーパーなどへ買い物に出る以外は外出自体が認められず、外出時も常に「自己宣誓書」を持ち歩く必要がありました。また、唯一認められていた犬の散歩も家から2メートル以内などの制約があり、公園なども閉鎖されていました。さらには、ランニング等の個人的な運動もNGだったので、かなりの人が運動不足になったことは言うまでもありません。

 今年は、屋外で対人距離を保ちマスク着用というルールを守れば、同じ自治体内でのランニングやサイクリングは可能で、また自宅近辺であれば散歩も運動の一環とみなされます。実際、警察によるコントロールも少し緩やかになった気がしています。また、公園なども開放されているので、子供が遊んだり、大人が日光浴をしたりしていて、私も今年はお花を愛でに散策できました!


③色分けによって一部の業種は営業可能

 一年前のイタリア全土がロックダウンになった時は、食料品や生活必需品の販売店、薬局及びスーパーマーケットを除く全ての商業及び小売り販売活動が休止されていました。

 でも、今回のロックダウンでは、ゾーンの色分けによってイエローやオレンジの場合は普通に商店が開いていますし、レッドゾーンになっても一部の業種(例えば、本屋、文房具屋、スポーツ用品店、眼鏡屋、携帯電話屋、花屋、下着屋、化粧品店、クリーニング店など)は開いています。

 下の写真は、ちょうど一年前と今年の同じ時期に同じ場所(アングルは少し違う)で撮影した、近所のショッピングセンターの様子です。

【上:2020年4月/下:2021年4月】


 上の写真では、同じ敷地内のスーパーマーケットの入場制限で、紅白のテープに沿ってぐるりと長蛇の列が距離を空けて出来ていました(筆者もその列にいて撮影)。そして、周囲の店舗(小売店が軒を並べている)は全てクローズしていました。

 ところが下の写真では、一部の店舗が営業していますし、人々もベンチに座って寛いでいる様子が見られます。とてもレッドゾーンとは思えない日常の風景です。何より、スーパーマーケットに入るのに列を作ることはほとんどなくなりました。


④飲食店の営業形態

 一年前は、レストラン、カフェなどの飲食店は夜間営業のみでなく全面的に閉鎖(一部の宅配サービスは可)が命じられていました。

 今は、すっかりデリバリーやテイクアウトが常識となり、多くの店は営業形態をシフトして生き残ろうとしています。感染状況が落ち着いてイエローゾーンになると、18時までなら店内での飲食が可能となるので、ランチをしたりお茶をすることができます。


もちろん、この一年でコロナの影響で閉店してしまった店舗も数多くありますし、まだ州を跨いでの移動や海外からの観光客が来られないため、ホテルなどはずっと閉鎖したままの所がほとんどです。


それでも、一年前のピリピリとした雰囲気や人々の行き場のない不安感などは薄れているように思います。誰しもが“コロナとの付き合い方”を学んだこともあるのでしょう。

一言でいってしまえば、「緩み」や「慣れ」なのでしょうが、このどうにもできない状況に「順応」して半ば「諦める」しかないのかなぁと思ったりもしています。


これは私の個人的な意見も含まれ、また同じイタリアでも地域によってバラつきもあるはずなので、あくまでその辺りはご了承ください。



<イタリアの感染状況の推移>

続いて、イタリアのその後の感染状況の推移です。(この記事は執筆時4月9日現在の情報を基に書いています)


過去4週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりなのでお間違えなく!! 

 

   * 3/12- 3/18 感染者数:22,528 死者数:377 回復者数:14,980

   * 3/19- 2/25 感染者数:22,562 死者数:421 回復者数:19,935 

   * 3/26- 4/ 1 感染者数:20,348 死者数:435 回復者数:19,838

   * 4/ 2- 4/ 8 感染者数:15,788 死者数:431 回復者数:18,093


3月中は1日の新規感染者数が2万人台で推移していましたが、4月に入ってからようやく微減し始め、再び新規感染者数よりも回復者数の方が上回りだしました。

それでも、相変わらず一日当たりの死者数が多いのには言葉を失いますが、これを減らすには、とにかく新規感染者を増やさないようにしていくしかないのでしょう。

金曜日のニュースでは、イタリア全土で実効再生数の平均も1を切ってきたので、来週(4/12~)はレッドからオレンジゾーンになる州も多いようです。


そして、イタリアでも変異ウィルスへの不安が話題となることが多いのですが、第4波が来る前になんとかワクチン接種を急いでほしいものです。



<ワクチンの接種状況>

日本経済新聞のネットニュースの発表によると、4月9日現在の世界のワクチン接種状況は、累計接種回数順だと米国、中国、インドのトップ3が桁違いに多いのですが、次いで英国、ブラジルとなり、イタリアは11番目に入っています。


私が前回このワクチンのことを話題にした1月末の記事に掲載した同じリソースのデータと比較すると、人口100人当たりの接種回数では:

米国7.1回⇒51.7回、英国11回⇒56.1回、イタリア2.5回⇒19.5回となり、この2ヶ月ちょっとの間に、人口比からみると英国が飛躍的に接種のスピードが加速していることがうかがえます。ちなみに、日本は1月末時点では接種そのものが始まっていなかったのですが、現在も100人当たりで1.2回という状況です。


ここで注目したいのは、英国なのですが、ご存知のように、イギリスでは昨年の12月に英国型の変異株が最初に確認され、感染状況が欧州最悪の時期もありました。しかし、3月28日に半年ぶりにロンドンの死者数がゼロ(英国全体で19人)だったというニュースは、ここイタリアでも話題になったばかりです。一時は1日の死亡者数が1,300人を超えたこともあったのですから。。。イギリスでは、その後も順調に状況が改善しているようで、4月6日の新規感染者数は2,379人と、1月に一日で6万人超だった日もある状況からは劇的に減った訳です。


こういった英国の例からも、ワクチン接種がいかに有効であるかを考えさせられます。特に、ロックダウンをしているにもかかわらず、第二波が下げ止まりのまま第三波を迎えてしまったイタリアでは、こうした目に見える劇的な効果を渇望しているのです。


イタリアでは、いち早く医療従事者と高齢者施設の入所者に優先してワクチン接種が行なわれ、その後、軍・警察関係者、教職者、そして一般の80歳以上の高齢者までほぼ行き渡っているようです。現在は70代後半の人への接種予約を受付けていて、来週から接種が始まります。

以下は、私の住むロンバルディア州が先日発表した年代別の接種スケジュールです。

【ロンバルディア州のワクチン接種スケジュール】


イタリアでも、当初の予定よりもワクチンの入手状況が遅れていて、上のスケジュールも最初に出たものからは改定されています。なので、今後また先送りになる可能性も十分にあるのですが、これによると、私の年齢では、来月中旬から予約が始まり、7月半ばまでには接種ができる見通しです。


日頃は、色々な意味で「若者が羨ましい」と思うことばかりですが、今回に限っては「中年で良かった~」と勝手なことを思ってしまいました(苦笑)



Comments


bottom of page