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新生ジェノヴァ橋に架かる虹

  • 執筆者の写真: 舞緒ルイ
    舞緒ルイ
  • 2020年8月7日
  • 読了時間: 5分

イタリア北西部リグーリア州の州都ジェノヴァで、高速道路の高架橋が崩落して43人が死亡した事故から2年。。。新しい橋の開通(落成)式が8月3日に行われました。


式典には、マッタレッラ大統領をはじめ、コンテ首相とその他の閣僚や関係者が出席し、その中で43人の犠牲者の名前が読み上げられました。

【高架橋の上で行なわれた落成式と取材に来た大勢の報道陣】


この事故は2018年8月14日、高速道路の高架橋が突然200メートルにわたって崩れ落ち、当時、橋の上を走行していた車やトラック35台ほどが落下して、合わせて43人が死亡したものです。

事故原因はいまだはっきりしていません(当日は激しい雷雨で、落雷が原因とする説も)が、橋の整備不良や構造上の欠陥などが指摘されていて、現地メディアによると高速道路の運営会社と抗争中の遺族らは、開通式に出席しませんでした。


下の写真が、崩落個所の写真です。上の写真と見比べると、落成式が行われたのが、まさに崩落現場の真上であることが分かります。

【二年前の崩落時の様子】


この橋は、1963年に着工され1967年9月4日に開通した半世紀前のもので、設計者の名前を取って「モランディ橋」と呼ばれていました。10年程前から老朽化が指摘され始め、交通量の多さなどもあって改修が必要とされ、大規模な調査と改修の計画が立案されることになっていたのですが、それが実現するよりも先に、2018年8月の崩落事故が起きてしまったという訳です。位置的には、ジェノヴァ港とジェノヴァ空港の中間辺りです。


その年の12月には、地元ジェノヴァ出身の建築家レンゾ・ピアノ<Renzo Piano>氏が設計する新しい橋を建設する事が発表されました。

ピアノ氏は、パリのポンピドゥーセンターの設計で国際舞台に衝撃を与え、イタリア国内のみならず、欧州やアメリカで活躍してきた世界的建築家で、数々の国際賞も受賞しています。日本では、関西国際空港ターミナルビルの設計者として知られ、銀座にあるメゾン・エルメスも彼の作品です。

(※日本ではレンゾの表記が多いが、イタリア語の発音だとレンツォが近い)

【落成式でスピーチするレンツォ・ピアノ氏】


今年で83歳になられるピアノ氏は、ご覧のように今も現役~この橋の設計に関しては、地元ジェノヴァのためにと、無償で貢献されたそうです!


2019年6月には、残っていた部分が爆破撤去され、架橋工事を開始。2020年4月に架橋が完了して、このコロナ禍の大変な時期にも新たな橋の建設が進められていました。


何事においても、なかなか予定通りに事が運ばないイタリアでは、例えそれが公共事業であっても、工期が遅れるのは当たり前!

それが、たった一年余りで1000メートル超の高架橋を完成させたというのですから、驚異的なことです。(イタリア人もその気になればできることが証明された...笑!)

【テープカットするコンテ首相(中央),リグーリア州知事(左),ジェノヴァ市長(右)】


当日、開通式の模様がライブ中継されていたので、私もテレビで見ていたのですが、このテープカットの前には、ジェノヴァ大司教(写真で州知事の後方にいる十字架のペンダントをかけた方)による祈祷が行われました。日本で、建築や工事をする前に行なう「地鎮祭」に相当する感じでしょうか。


この新しい橋は、街の象徴ともいえる聖人の名前にちなみ「サン・ジョルジョ橋」と名付けられました。


そして、テープカットが済むと、お馴染み(こちらのブログでも何度か登場)”フレッチェ・トリコローリ”(イタリア空軍アクロバット飛行隊)が現れ、橋の上を飛んでジェノヴァ港へ向かい、また折り返して行きました。

【イタリアの国家的セレモニーには欠かせないフレッチェ・トリコローリ】


当日はミラノでも雨模様だったのですが、現場の中継を見ていても傘をさしている姿が見られました。ところが、テープカットの頃には青空になってきて、なんと上空には虹が見られたとか!!


翌日のネットニュースでは、まさに新しい橋の上に「虹の架け橋」が架かっている写真がたくさんアップされていました。

【生まれ変わった橋に架かる虹】


不運にも、事故に巻き込まれてしまった被害者やその遺族の方には、改めて追悼の念を抱かずにはいられませんが、このような事故が二度と起きないように、イタリア中のインフラ整備を見直して、対応してくれることを切に願います。



<イタリアの状況の推移>

では引き続き、イタリアの状況レポートです。(この記事は執筆時8月7日の現地10時現在の情報を基に書いています)


過去3週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。


   *7/17-7/23 感染者数: 229 死者数: 11 回復者数: 229

   *7/24-7/30 感染者数: 260 死者数: 6 回復者数: 279  

   *7/31-8/06 感染者数: 292 死者数: 8 回復者数: 218


ここのところ、200人前後で推移していた新規感染者が、今週は300人を超える日も何日かあり、昨日ついに、1か月半ぶりに400人を超えてしまいました。

ただ、これまで最も感染者数の多い(私の住む)ミラノ県では、ここのところ20人前後で推移しているので、ある意味で危機感は少ないのですが。。。もし、バカンスで海や山で過ごしているミラネーゼや、夏休みで里帰りしているミラノ在住の若者が、地方に広めているのだとしたら、安心もしていられません💦


引き続き、マスク着用とキープディタンス、外から帰ったら手洗い&うがいを怠らず、熱中症にも気をつけて、この夏を乗り切りましょう!



注:上記掲載の写真はネットニュースよりお借りしたものです。



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