決勝はイタリア対イングランド!~ユーロ2020
- 舞緒ルイ
- 2021年7月9日
- 読了時間: 7分
先日のブログで概要を紹介した開催中の『欧州サッカー選手権=EURO(ユーロ)2020』ですが、注目のイタリアが決勝まで駒を進めました!
まず、ラウンド16ではオーストリアと対戦し、0-0のまま延長戦となり、結果2-1で勝利。続く準々決勝では、ベルギー(現FIFAランキング1位)と対戦し、90分で2-1と決着を付けました。
そして、先日の準決勝では、宿敵スペインと対戦して1-1で延長戦となり、それでも決着がつかずにPK戦(4-2)にもつれこみ、辛くも決勝への切符をつかんだのです。
欧州選手権でのイタリアは、地元イタリア開催の第3回大会(1968年)で優勝してからは、2000年に準優勝(フランスに延長の末1-2と惜敗)、2012年に準優勝(スペインに0-4と完敗)ということで、今回で3大会ぶり4回目の決勝戦となります。つまり、優勝すれば53年ぶり2回目となるわけです!
イタリア戦がある時は、テレビ観戦をしている家からゴールの度に叫び声が聴こえるのですが、この前の準決勝の後には、仲間で集まって観戦していたであろうグループの騒ぎ声や、車でクラクションを鳴らしながら走り回る音が街に響き渡りました💦
一方、対戦相手のイングランドは、欧州選手権で初の決勝進出・・・つまり、優勝すれば初のタイトルとなります。
しかもイングランドは、意外なことにメジャーな大会では1966年に地元開催のワールドカップで優勝して以来の決勝戦で、それ以降、1990年と2018年のワールドカップでは、いずれも3位決定戦で敗れ4位という結果。
欧州選手権では、前述のイタリアが優勝した1968年の3位(とはいっても、当時は4ヶ国の参加)が最高位で、1996年のイングランド大会では、準決勝で宿敵ドイツにPK戦の末に敗れています。
その1996年の準決勝の時に、当時ディフェンダーとして出場し、6人目のキッカーとしてPKを蹴って外したのが、現在イングランド代表を率いているサウスゲート監督というのも、注目されている点です。舞台は奇しくもウェンブリー・スタジアムでした。
イングランドは、公式戦でずーっと負け続けていたドイツに、ラウンド16で勝ったことで、さらに勢いがついたとも言われています。
<熱狂するスタジアムのサポーター>
前回のブログでもお伝えしたように、各スタジアム毎に開催都市(国)のルールに従って、入場者の上限が設けられていますが、グループリーグでは2万人が上限だったロンドンのウェンブリー・スタジアムも、ラウンド16のイングランド対ドイツ戦には4万2千人が集まり、準決勝のイングランド対デンマーク戦には6万5千人が集結しました。

ご覧のように、かなり”密状態”である上に、マスクをしている人はほぼ皆無であることが判ります。さらには、試合中も大声で叫んだり歌ったり、飛び跳ねたり抱き合ったりと、熱狂するサポーターの様子はコロナ前の<従来の観戦の姿>そのものでした。
(※筆者はテレビで観戦)
準決勝&決勝の3試合は、最大9万人収容の75%、つまり67,500人を上限とすることに決めたイギリス政府ですが、その決定を発表した6月下旬のイギリスの新型コロナウィルス新規感染者数は、1日で1万人を超えていた状況です。その後も急増傾向が続いていて、この2日間は3万人台を超え、ロックダウン前の昨年12月下旬の水準となっています。
<スタジアム外での感染も…>
人の密ができているのは、スタジアムの中だけではありません。大きなスポーツイベントにはつきものの、パブリックビューイングやスポーツバーでの観戦・・・特にこの時期は、ビールを飲みながら大いに盛り上がるのが定番です。

実際に、大会のせいで感染のクラスターが起きたというニュースがいくつか報道されています。
6月18日にロンドンで行われたグループリーグのイングランド対スコットランド戦には、スコットランドから大勢のサポーターが応援に駆けつけましたが、そのうち約1300人に陽性者が出たことが大きく報じられました。その内訳をみると、400人近くはスタジアムで観戦(総観客数2万人)したのですが、残りはパブなどスタジアムの外で応援していた人たちだといいます。
他のクラスターの事例としては、やはり感染のリバウンドが起きているロシアで、6月16日にサンクトペテルブルクで行われたグループリーグのロシア対フィンランド戦(総観客数2万5千人)を応援に行ったフィンランドのサポーターのうち約300人が、帰国後のPCR検査で陽性が判明したそうです。
スタジアムで観戦するには、新型コロナウイルス感染症の陰性証明書か、2週間前までに2回のワクチン接種を完了したことが入場の条件となっているので、感染の危険はむしろスタジアム外に多く潜んでいるのかも知れません。
WHO(国連世界保健機関)によると、6月の最終週には世界の新規感染者が10%増加しており、このようにユーロ2020の開催に伴って、各都市のスタジアム周辺のスポーツバーなどで観戦する人たちが増え、人流の多さが感染者数増に影響を与えたとみられています。
<大きな決勝戦が同日に2つ!>
実は、ユーロの決勝戦が行われる7月11日(日)は、イギリス・ロンドンでもう一つ大きなイベントが予定されています。
6月28日から2年ぶりに開催されているテニスの四大大会の1つである<ウィンブルドン選手権>の男子シングルス決勝戦が、同じ11日なのです。
ウィンブルドンでも、当初は観客数の上限を会場全体で50%までとしていたのですが、大会が進むにつれ観客の人数を徐々に増やし、6日の準々決勝からは人数制限を解除する、とイギリス政府が発表したことにより、1万5000人収容のセンターコートで行われる決勝戦は満員になる予定です。
私自身スポーツ観戦が趣味なので、テニスの主な大会も以前から注目して観ていました。このウィンブルドンもテレビで見ていると、スタッフはマスクをしていても、観戦客はほぼマスクを着用していません。英国では「紳士のスポーツ」とされるテニスですし、サッカー観戦ほど大騒ぎにはなりませんが、それでも試合会場ではアルコール飲料が提供されていて、ビールを飲みながら観戦している人の姿も見かけました。
そんな、ウィンブルドンの決勝戦に関して、先ほど大きなニュースが飛び込んできました。イタリア人テニスプレーヤーのマッテオ・ベレッティーニ(現世界ランキング9位)が、準決勝で勝利し、男女を通じてイタリア人として大会初の決勝進出を果たす快挙を成し遂げたのです!
今までテニス界では、さほど有名なイタリア人プレーヤーが輩出したことがなかったのですが、ここ1-2年で若手の台頭が著しくなってきています。
そして、たった今、決勝の相手がジョコビッチ(世界ランキング1位)に決まりました。
かくして、今度の日曜日は、イタリアのスポーツ界に限らず、イタリアにとって目が離せない日となりそうです。
イタリア共和国マッタレッラ大統領も、ユーロ2020決勝を観戦するためにロンドンへ行くことが報じられています。
イングランドのホームスタジアムで、完全なアウェー状況の中、イタリア代表はどこまで力が発揮できるでしょうか!?
FORZA AZZURRI!!(がんばれ、イタリア代表!!)
<イタリアの感染状況の推移>
最後に、イタリアのその後の感染状況の推移についてもお伝えします。(この記事は執筆時7月9日現在の情報を基に書いています)
いつものように、過去3週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。
※1週間のトータル数ではなく、一日あたりの平均数となります。
* 6/18- 6/24 感染者数: 917 死者数: 25 回復者数: 6,010
* 6/25- 7/ 1 感染者数: 727 死者数: 32 回復者数: 2,545
* 7/ 2- 7/ 8 感染者数: 902 死者数: 21 回復者数: 2,009
デルタ株の流行で懸念されていたように、7月に入ってから新規感染者数が再び増え始めています。17日間1,000人を下回っていたのに、この3日間は1,000人を超え始めました。それでも、イギリスの3万人に比べたら少なく感じてしまいます(苦笑)。
先週(6/28)から屋外でのマスク着用義務が撤廃されたイタリアですが、この2週間の様子を見ていると、道行く人の大半がまだマスクをしたままです。
中には、“あごマスク”や“ひじマスク”の人もいますが、日中は30度を超える日が多い中で、<義務>ではなくなったにもかかわらず、マスクをし続けるイタリア人の慎重さには、正直なところ驚いています。
オリンピック開幕を2週間後に控えた東京で、4回目の緊急事態宣言が発令された日本のことを考えると、1日3万人の感染者が出ていても、7月19日には正常化する予定のイギリス政府の肝の座り方に、個人的には感服すると同時に複雑な気持ちです。
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