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先日のブログで概要を紹介した開催中の『欧州サッカー選手権=EURO(ユーロ)2020』ですが、注目のイタリアが決勝まで駒を進めました!


まず、ラウンド16ではオーストリアと対戦し、0-0のまま延長戦となり、結果2-1で勝利。続く準々決勝では、ベルギー(現FIFAランキング1位)と対戦し、90分で2-1と決着を付けました。

そして、先日の準決勝では、宿敵スペインと対戦して1-1で延長戦となり、それでも決着がつかずにPK戦(4-2)にもつれこみ、辛くも決勝への切符をつかんだのです。


欧州選手権でのイタリアは、地元イタリア開催の第3回大会(1968年)で優勝してからは、2000年に準優勝(フランスに延長の末1-2と惜敗)、2012年に準優勝(スペインに0-4と完敗)ということで、今回で3大会ぶり4回目の決勝戦となります。つまり、優勝すれば53年ぶり2回目となるわけです!


イタリア戦がある時は、テレビ観戦をしている家からゴールの度に叫び声が聴こえるのですが、この前の準決勝の後には、仲間で集まって観戦していたであろうグループの騒ぎ声や、車でクラクションを鳴らしながら走り回る音が街に響き渡りました💦


一方、対戦相手のイングランドは、欧州選手権で初の決勝進出・・・つまり、優勝すれば初のタイトルとなります。

しかもイングランドは、意外なことにメジャーな大会では1966年に地元開催のワールドカップで優勝して以来の決勝戦で、それ以降、1990年と2018年のワールドカップでは、いずれも3位決定戦で敗れ4位という結果。

欧州選手権では、前述のイタリアが優勝した1968年の3位(とはいっても、当時は4ヶ国の参加)が最高位で、1996年のイングランド大会では、準決勝で宿敵ドイツにPK戦の末に敗れています。


その1996年の準決勝の時に、当時ディフェンダーとして出場し、6人目のキッカーとしてPKを蹴って外したのが、現在イングランド代表を率いているサウスゲート監督というのも、注目されている点です。舞台は奇しくもウェンブリー・スタジアムでした。

イングランドは、公式戦でずーっと負け続けていたドイツに、ラウンド16で勝ったことで、さらに勢いがついたとも言われています。



<熱狂するスタジアムのサポーター>

前回のブログでもお伝えしたように、各スタジアム毎に開催都市(国)のルールに従って、入場者の上限が設けられていますが、グループリーグでは2万人が上限だったロンドンのウェンブリー・スタジアムも、ラウンド16のイングランド対ドイツ戦には4万2千人が集まり、準決勝のイングランド対デンマーク戦には6万5千人が集結しました。

EURO2020準決勝 イングランド対デンマーク ウェンブリースタジアム(ロンドン)

ご覧のように、かなり”密状態”である上に、マスクをしている人はほぼ皆無であることが判ります。さらには、試合中も大声で叫んだり歌ったり、飛び跳ねたり抱き合ったりと、熱狂するサポーターの様子はコロナ前の<従来の観戦の姿>そのものでした。

(※筆者はテレビで観戦)


準決勝&決勝の3試合は、最大9万人収容の75%、つまり67,500人を上限とすることに決めたイギリス政府ですが、その決定を発表した6月下旬のイギリスの新型コロナウィルス新規感染者数は、1日で1万人を超えていた状況です。その後も急増傾向が続いていて、この2日間は3万人台を超え、ロックダウン前の昨年12月下旬の水準となっています。



<スタジアム外での感染も…>

人の密ができているのは、スタジアムの中だけではありません。大きなスポーツイベントにはつきものの、パブリックビューイングやスポーツバーでの観戦・・・特にこの時期は、ビールを飲みながら大いに盛り上がるのが定番です。

スタジアム周辺のパブ パブリックビューイングで盛り上がる若者たち

実際に、大会のせいで感染のクラスターが起きたというニュースがいくつか報道されています。

6月18日にロンドンで行われたグループリーグのイングランド対スコットランド戦には、スコットランドから大勢のサポーターが応援に駆けつけましたが、そのうち約1300人に陽性者が出たことが大きく報じられました。その内訳をみると、400人近くはスタジアムで観戦(総観客数2万人)したのですが、残りはパブなどスタジアムの外で応援していた人たちだといいます。


他のクラスターの事例としては、やはり感染のリバウンドが起きているロシアで、6月16日にサンクトペテルブルクで行われたグループリーグのロシア対フィンランド戦(総観客数2万5千人)を応援に行ったフィンランドのサポーターのうち約300人が、帰国後のPCR検査で陽性が判明したそうです。


スタジアムで観戦するには、新型コロナウイルス感染症の陰性証明書か、2週間前までに2回のワクチン接種を完了したことが入場の条件となっているので、感染の危険はむしろスタジアム外に多く潜んでいるのかも知れません。


WHO(国連世界保健機関)によると、6月の最終週には世界の新規感染者が10%増加しており、このようにユーロ2020の開催に伴って、各都市のスタジアム周辺のスポーツバーなどで観戦する人たちが増え、人流の多さが感染者数増に影響を与えたとみられています。



<大きな決勝戦が同日に2つ!>

実は、ユーロの決勝戦が行われる7月11日(日)は、イギリス・ロンドンでもう一つ大きなイベントが予定されています。


6月28日から2年ぶりに開催されているテニスの四大大会の1つである<ウィンブルドン選手権>の男子シングルス決勝戦が、同じ11日なのです。

ウィンブルドンでも、当初は観客数の上限を会場全体で50%までとしていたのですが、大会が進むにつれ観客の人数を徐々に増やし、6日の準々決勝からは人数制限を解除する、とイギリス政府が発表したことにより、1万5000人収容のセンターコートで行われる決勝戦は満員になる予定です。


私自身スポーツ観戦が趣味なので、テニスの主な大会も以前から注目して観ていました。このウィンブルドンもテレビで見ていると、スタッフはマスクをしていても、観戦客はほぼマスクを着用していません。英国では「紳士のスポーツ」とされるテニスですし、サッカー観戦ほど大騒ぎにはなりませんが、それでも試合会場ではアルコール飲料が提供されていて、ビールを飲みながら観戦している人の姿も見かけました。


そんな、ウィンブルドンの決勝戦に関して、先ほど大きなニュースが飛び込んできました。イタリア人テニスプレーヤーのマッテオ・ベレッティーニ(現世界ランキング9位)が、準決勝で勝利し、男女を通じてイタリア人として大会初の決勝進出を果たす快挙を成し遂げたのです!


今までテニス界では、さほど有名なイタリア人プレーヤーが輩出したことがなかったのですが、ここ1-2年で若手の台頭が著しくなってきています。


そして、たった今、決勝の相手がジョコビッチ(世界ランキング1位)に決まりました。

かくして、今度の日曜日は、イタリアのスポーツ界に限らず、イタリアにとって目が離せない日となりそうです。


イタリア共和国マッタレッラ大統領も、ユーロ2020決勝を観戦するためにロンドンへ行くことが報じられています。

イングランドのホームスタジアムで、完全なアウェー状況の中、イタリア代表はどこまで力が発揮できるでしょうか!?


FORZA AZZURRI!!(がんばれ、イタリア代表!!)



<イタリアの感染状況の推移>

最後に、イタリアのその後の感染状況の推移についてもお伝えします。(この記事は執筆時7月9日現在の情報を基に書いています)


いつものように、過去3週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりの平均数となります。 


   * 6/18- 6/24 感染者数: 917 死者数: 25 回復者数: 6,010

   * 6/25- 7/ 1 感染者数: 727 死者数: 32 回復者数: 2,545   

   * 7/ 2- 7/ 8 感染者数: 902 死者数: 21 回復者数: 2,009


デルタ株の流行で懸念されていたように、7月に入ってから新規感染者数が再び増え始めています。17日間1,000人を下回っていたのに、この3日間は1,000人を超え始めました。それでも、イギリスの3万人に比べたら少なく感じてしまいます(苦笑)。


先週(6/28)から屋外でのマスク着用義務が撤廃されたイタリアですが、この2週間の様子を見ていると、道行く人の大半がまだマスクをしたままです。

中には、“あごマスク”や“ひじマスク”の人もいますが、日中は30度を超える日が多い中で、<義務>ではなくなったにもかかわらず、マスクをし続けるイタリア人の慎重さには、正直なところ驚いています。


オリンピック開幕を2週間後に控えた東京で、4回目の緊急事態宣言が発令された日本のことを考えると、1日3万人の感染者が出ていても、7月19日には正常化する予定のイギリス政府の肝の座り方に、個人的には感服すると同時に複雑な気持ちです。




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更新日:2021年7月2日

コロナの影響で一年間延期となっていた欧州サッカー選手権=EURO(ユーロ)2020が、6月11日に開幕しました。

東京オリンピックと同じ理由で、一年遅れの開催でも名称はそのまま<EURO2020>で統一されています。


ワールドカップと2年ずらして、同じく4年ごとに開催される大会で、欧州予選を勝ち上がった強豪国同士で繰り広げられるレベルの高い試合は、サッカーファンにとってはワールドカップ並みに盛り上がる楽しみなイベントです!


延期されたとはいっても、ヨーロッパもまだコロナ禍~東京オリンピック開催を目前に控えた今、同じスポーツの大きなイベントとして注目されているこのEURO2020について、サッカーファンの一人である筆者の目線で、概要をお伝えしたいと思います。


<EURO2020開催地>

今回で16回目となるEURO2020は、1960年にフランスで第一回大会が開催されてから、ちょうど60年の節目にあたることから、記念の特別大会として欧州大陸全土の複数都市で大会を開催する事を、2012年12月の欧州サッカー連盟(UEFA)理事会で決めました。


1996年の大会から、出場国がそれまでの8カ国から16カ国に倍増し、2016年大会からは24カ国に増加したのですが、これは国際大会に出場する機会を欧州の中堅国にも与えよう...という意図があったようです。


このように、大会の巨大化が進むにつれて、ヨーロッパの中堅国では1ヵ国のみでの大会開催が難しい状況になったことから、2000年(ベルギー&オランダ)、2008年(オーストリア&スイス)、2012年(ポーランド&ウクライナ)大会のように、隣接する2ヵ国による共同開催がスタンダード化しつつありました。

(※2002年のワールドカップがアジアで初めて行われた大会で、日本と韓国の2カ国共同開催というのもW杯史上初でした。)


そして、2013年1月のUEFA理事会で、2020年大会を欧州13カ国での分散開催と決定しました。このうち12会場でグループリーグ3試合と決勝トーナメントの1回戦もしくは準々決勝の1試合、残る1会場で準決勝と決勝の計3試合を開催することとしました。

従来の開催国枠は撤廃されましたが、予選を通過した開催国はグループリーグ中の自国の試合を少なくとも2試合は開催でき、またグループリーグの組み合わせには、選手や観客の負担を抑えるために移動距離も考慮されるように決めることに。。。

スタジアムの収容人員数は、決勝・準決勝が7万人以上、準々決勝が6万人以上で、決勝トーナメント1回戦とグループリーグが5万人以上(2ヶ所は3万人以上でも認められる)という条件で、選出される開催地は1カ国につき1都市のみという枠組みとなりました。


これに基づいて開催地立候補の受付けを行ったところ、2013年9月の期日までに32協会から立候補の意向が示され、最終的には19の立候補都市が残り、その中から13箇所が一年後の2014年9月に開催都市として発表されました。


実際に発表の時点では13都市で予定されていましたが、ブリュッセル(ベルギー)はスタジアム建設の遅れにより2017年12月に開催地から外され、そこで開催予定だった試合は、ロンドン(イングランド)で行われることになりました。また、新型コロナウイルスの感染状況に伴い、2021年4月にダブリン(アイルランド)はその開催地から除外され、最終的に11ヶ国での分散開催となりました。同じくコロナの影響で、スペインでは北部の都市ビルバオから南部のセビリアに開催地が変更されました。


以下が、今大会の開催地とスタジアムの概要一覧です。

EURO2020の開催スタジアムと最大収容人数 <Wikipediaより>

投票の結果、決勝と準決勝はロンドン(イングランド)での開催が決定。また、ミュンヘン(ドイツ)とバクー(アゼルバイジャン)、サンクトペテルブルク(ロシア)、ローマ(イタリア)の4都市では、準々決勝1試合とグループステージ3試合を行うことになりました。


ちなみに、サッカーの世界においては、イングランドとスコットランドは別の国として認知されています。


※通称「イギリス」もしくは「英国」と呼ばれる国の正式名称は、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)で、もともと4つの国で成り立っている連合国です。

国際サッカー連盟(FIFA)の創立は1904年ですが、世界最古のサッカー協会であるイギリスのサッカー協会の創立は、それより約40年も早い1863年。4つの国の協会はそれぞれ個別に活動しており、FIFAへの加盟も4協会個別での加盟を主張したそうです。

当時のFIFAは、1国1協会(代表)での加盟が原則でしたが、サッカー発祥の地であり圧倒的な強さを見せていたイギリスには、ぜひとも加盟してもらいたかったので、4協会(代表)それぞれの加盟を認めたという背景があるようです。



<ローマでの開会式>

かくして、正式に開催地や試合のスケジュールなどが決まる中で、開幕試合はローマのスタジオ・オリンピコで組まれることとなり、オープニングセレモニーはローマのコロッセオ(ローマ時代の円形闘技場)という歴史的建造物でコンサートが予定されていました。


そして、欧州予選を勝ち上がった24ヶ国は、2019年11月の組み合わせ抽選会で6つのグループに振り分けられました。

ところが、年が明けて新型コロナウィルスが瞬く間に欧州中に蔓延したため、欧州サッカー連盟(UEFA)は、2020年3月17日に、夏に開催予定だったEURO2020を一年間延期することを正式に発表したのです。

ちなみに、東京オリンピックの延期が決定されたのは、この一週間後の3月24日でした。


こうして、一年延期された大会ですが、予定通り一年後の6月11日に、ローマで開会式が行われました。残念ながら、コロッセオでのオープニングセレモニー&コンサートという当初の構想は中止となりましたが、スタジオ・オリンピコでの開幕式には、世界的に有名なイタリア人オペラ歌手のアンドレア・ボチェッリが歌を披露しました!

※画像はネットニュースより


彼が開会式で歌ったアリア『誰も寝てはならぬ』は、プッチーニ作曲のオペラ『トゥーランドット』からのものであり、オペラでも最も有名なアリアの1つです。その歌詞の最後のフレーズである「Vincerò~♫」(ヴィンチェロ=私が勝ちますの意)が、スポーツイベントにふさわしいとして、よく歌われるのです。

※余談ですが、2006年のトリノ・オリンピックで、フィギュアスケート女子シングルで金メダルを取った荒川静香さんのフリープログラム曲としても使われています。


開幕戦は、ホームのイタリアがトルコに3-0と圧勝し、その後もイタリアは、スイスにも3-0で勝利、ウェールズに1-0で勝って、三試合無失点でグループリーグ1位通過を決めました!


参考までに、5年前の前大会EURO2016の時にも、イタリアのチームにスポットをあてて、このブログで紹介しています。よろしければ、コチラ☜からご覧ください。



<決勝トーナメント>

各グループの上位2チーム(6x2=12)に加えて、3位チームのうち上位4チームの合計16チームが、決勝トーナメントに進出します。

グループリーグの結果、勝ち上がった16チームのトーナメント表と試合日程は、以下の通りです。

※表示の日時は分かりやすく日本時間(欧州との時差は開催地によって日本より-6~8時間)のものを掲載しました。


残念ながら、日本ではいずれも深夜の時間帯ですよね💦

でも、WOWOWプレミアムとWOWOWライブで全試合が放映されていますので、サッカーファンの方は、録画または時差調整をして、ぜひご覧ください!


ということで、わがイタリアは今夜オーストリアとベスト8をかけての対決です。最近のイタリア代表チームは、スピード感があって、観ていてもおもしろいです。予選から代表チームの無敗(代表戦はここ30試合連続無敗)が続いていて、好調なアッズーリ(サッカーのイタリア代表のニックネーム)に、イタリア人の期待も高まっています!!



<EURO2020のコロナ対策>

◎開催都市の分散方式

選手たちは、グループリーグの間は、ホーム開催試合を除いては中3日から4日あけて欧州の各都市に移動していましたし、決勝トーナメントが始まってからも、この移動が伴います。

一国開催ではなく、複数都市の開催になったことが、結果的にはコロナ対策のメリットとなったのかも知れません。私も、初めはコロナ禍でこのような方式が取られたのだと思っていたくらいです。

一方で、東京オリンピックは、一部の競技が札幌と福島と宮城で行なわれますが、大半は

東京および関東にほぼ一極集中ですし、毎日のように過密日程で競技が行われます。


◎スタジアムの観客数制限

グループリーグから準々決勝までは、各都市ごとに入場者の上限が異なっています。

*ブダペスト(ハンガリー):100%(約6万人)

*バクー(アゼルバイジャン):50%(約3万人)

*サンクト・ペテルブルク(ロシア):50%(約3万人)

それ以外の都市はだいたい4分の1程度で、実際のグループリーグの観客数を見てみると、

*コペンハーゲン(デンマーク):約2万5千人

*ロンドン(イングランド):約2万人

*アムステルダム(オランダ):約1万5千人

*ローマ(イタリア)/ミュンヘン(ドイツ):約1万2千人

*セビリア(スペイン)/グラスゴー(スコットランド)/ブカレスト(ルーマニア):約1万人


実際には、対戦カードで観客の入りも前後したようですが、テレビを見ている限りでは、スタジアムの観客が一人ずつ距離をあけてとっているとは言い難いですし、マスクの着用についてもまちまちでした。


◎各国(各都市)ごとの入場規制

観戦者がスタジアムに入るには、次の3つのうち最低1つの証明書の提示が必要。

*ワクチンの完全接種の証明書

*過去に感染して完治した証明書

*72時間以内のPCR検査による陰性証明書


アムステルダムでは、ワクチンの完全接種の証明書だけでは不十分で、さらに陰性証明書が必要。また、ブダペストでは、入場時に体温検査をし、37.8度以上の者は入場が拒否されるとのこと。(注:白人の平熱は、一般の日本人よりも高いらしいです)

さらに、ミュンヘンでは、観客はKN-95(欧州規格でFFP2)の防塵マスクを着用しなければならない・・・といった感じです。


また、そもそも移動・旅行ができるのかという問題は、開催国の政策ごとに異なります。入国後に何日かの検疫&隔離が必要な国々では、国外から行くこと自体が難しいでしょう。


◎試合開催の特別規則

通常は1チーム23人の選手が登録されるところ、今回は26人まで許されました。

また、大会開催中に感染が拡大した場合のことも考慮され、いくつかのレギュレーションが追加されています。

例えば、ゴールキーパーを含む健康な13名以上の選手がいれば、プレーすることができます。もしそれができない場合、試合は最大で48時間延期されます。そして、延期しても試合が開催できない場合、当該チームは3対0のスコアで負けとなります。

このような規則は、欧州選手権史上でも初めての特別規則です。

※これは、東京オリンピックの場合、集団競技には参考になるかもしれませんが。。。


◎バブル方式の採用

「バブル方式」とは、国際大会で導入が進む新型コロナ対策の一つで、開催地を大きな泡(バブル)で包むように囲い、選手や関係者の外部との接触を遮断する方法で、これまでも多くのスポーツ大会で採用されています。


今大会でも、欧州サッカー連盟の指示に従い、24チームは2週間前に準備を開始してから大会終了まで、健康管理の中に閉ざされています。選手やスタッフは、定期的にPCR検査を受けなければならず、外部と遮断した空間をつくる「バブル方式」で感染を防ぐため、外部との接触はほとんどないといいます。

周りの一般人やサポーターはお祭り騒ぎをしていても、選手は前例のないストレスと孤独、そして厳しい管理の中に置かれている訳です。


バブル方式の成功例は、今年2月に行なわれたテニスの全豪オープンです。選手はチャーター機で入国し、2週間のホテル隔離生活の間、毎日PCR検査を実施して、大会を無事に終えました。

また、3月のフェンシング(ハンガリー)、4月のレスリング(カザフスタン)、5月の柔道(ロシア)などの国際大会でもバブル方式が採用されたようです。

それでも、感染者がまったく出なかった訳ではなく、レスリング関係者は「日本人はまじめだが、マスクをしないでわめき散らす国が結構あった。ルールを守るかどうかの差が激し過ぎる」と振り返ったそうです。


※東京オリンピックでも、このバブル方式が採用されるようですが、報道でも言われているように、オリンピックとパラリンピックの場合は、上記の国際大会をはるかにしのぐ規模となります。

また、東京オリンピック組織委員会によると、このバブルに出入りする関係者のうち、国内の約30万人(ボアンティア、通訳者、警備員、運転手、清掃員など)は、公共交通機関で自宅などから通うため、完全なバブルを遵守しているとは言えません。しかも、この30万人に対して、政府が用意しているワクチンの数は2万人分しかないそうです。


<懸念されるイギリスの状況>

6月22日にイギリス政府は、ロンドンで行なわれるEURO2020の準決勝(7/6&7)と決勝(7/11)に、6万人以上の観客を入場させると発表しました。 試合が行われるウェンブリー・スタジアムの収容人数は9万人で、観客数はその75%(=6万7,500人)を上限にするということです。


イギリスでは、新型コロナウィルス流行後の最大のイベントとなりますが、インド型変異ウィルスと呼ばれるデルタ株が蔓延し、最近の1日の新規感染者数は1万人を超えていて、6月21日に全面解除する予定だった規制が、7月19日に延期されたばかりでした。


そこで、イタリアのドラギ首相は、デルタ株が猛威を振るうイギリスでの開催に懸念を示して、決勝の開催地をローマのスタディオ・オリンピコに変更する案について働きかける構えであることを示しました。


いずれにしても、この欧州サッカー選手権が原因で、感染の再爆発という事態だけは、なんとしても起こらないことを祈るしかありません。



<イタリアの感染状況の推移>

それでは、イタリアのその後の感染状況の推移です。(この記事は執筆時6月26日現在の情報を基に書いています)


いつものように、過去3週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりの平均数となります。 


   * 6/ 4- 6/10 感染者数: 2,101 死者数: 73 回復者数: 7,206   

   * 6/11- 6/17 感染者数: 1,412 死者数: 48 回復者数:11,465

   * 6/18- 6/24 感染者数: 917 死者数: 25 回復者数: 6,010


引き続き順調に減少傾向にあり、この2週間で感染者数も死者数も平均値がさらに半分以下になっています。6/21には、新規感染者数が484人と500人を下回り、これは昨年の8月18日以来10ヵ月ぶりです!


そして、イタリアでは来週6月28日から”屋外でのマスク着用義務”が撤廃されます。いよいよ本格的に暑くなってきましたし、これで海や山でのヴァカンスでは、口を覆う必要がなくなる訳です。


とはいっても、誰もが「今後の状況次第では、昨年のように、また秋から厳しい制限措置が始まるかもしれない…」という恐れはもっているに違いありません。例えそうなったとしても、一時でもいいから、この夏は解放されて満喫したいと多くの人が思っていることでしょう。




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更新日:2021年6月25日

州や地域によって多少の違いはありますが、イタリアのほとんどの学校が先週から夏休みに突入しています。

新学年(新学期)が始まるのが9月中旬なので、丸々3ヶ月が夏休みという、日本では考えられない長さですよね。


昨年の夏は、春先から起きたコロナ・パンデミックとの闘いの先行きがまだ不透明で、イタリアでもヴァカンス・モード全開とはいかず、例年のようなヴァカンスを取らずに規模を縮小したり(例えば、いつもは海外旅行をしていた人々が国内旅行)、我が家のように予定をキャンセルしてどこへも行かなかったり・・・という感じでした。


今年はというと、まず何と言ってもワクチン接種が進んでいます。そして欧州全体では、この一年半に滞っていた経済の活発化を目指そうと、「欧州グリーンパス」(正式名称:EUデジタルCOVID証明書)いわゆる「ワクチンパスポート」が、いよいよ現実化しています。欧州委員会は、7月1日に運用開始する計画のための最終決定を先日発表しました。

※これらの詳細は、また別の機会に触れたいと思います。


ここのところ、幸いにして、欧州全体の感染状況が落ち着いてきていることに加え、昨年の反動もあってか、『ワクチンを打ってヴァカンスへ出かけよう!』という流れが一気に広まっている感じが見受けられます。



<イタリアのワクチン接種状況>

まず、6月15日現在のイタリアの接種状況ですが、総接種数は4千2百万回を超え、一回以上のワクチン接種者は2千8百万人超(人口の約48%)、二回の接種が完了(または一回接種型)している人は1千5百万人超(接種対象の12歳以上人口の約26%)です。


イタリアでは現在4種類のワクチンが運用されていて、以下が現時点での接種割合です。

①ファイザー製〔mRNAワクチン〕全体の69.3%

②アストラゼネカ製〔ウィルスベクターワクチン〕全体の18.8%

③モデルナ製〔mRNAワクチン〕全体の9.2%

④ヤンセン(ジョンソン&ジョンソン)製〔ウィルスベクターワクチン〕全体の2.7%


各州ごとに対応や方針は異なりますが、イタリア各地で、それぞれに工夫を凝らして接種を推進する動きが行われています。

例えば、「オープンデー」という基本的に事前の予約不要でワクチン接種が受けられる日を設けたり、「ジュニアデー」として12~17歳の未成年者を対象に接種を進めたり、「アストラナイト」とうたって、アストラゼネカ製のワクチン限定で夜間の時間帯に接種枠を作ったり。。。(アストラゼネカは、イタリアでも血栓症による死亡者が出たため、一時的に接種をストップして以降、再開後も不人気で避けられているため)


ロンバルディア州では、現在すべての年代(12歳以上)の人の予約が可能になっていますが、まだ若者の予約受付が始まっていない段階の時に、オープンデーに殺到する若者の映像をニュースで見た時には、やはり今年の夏休みに向けて、制限なく自由に旅行をしたいと思う気持ちの現われなのだろうと感じました。


イタリア政府は、8月中に全国民の70%の接種を目的としていて、そのために一日51万回の接種が必要だと言っているそうです。



<イタリアの感染状況の推移>

それでは、イタリアのその後の感染状況の推移です。(この記事は執筆時6月15日現在の情報を基に書いています)


いつものように、過去4週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりの平均数となります。 


   * 5/14- 5/20 感染者数: 5,586 死者数:152 回復者数:12,080 

   * 5/21- 5/27 感染者数: 3,958 死者数:140 回復者数:10,431

   * 5/28- 6/ 3 感染者数: 2,742 死者数: 78 回復者数: 9,468

   * 6/ 4- 6/10 感染者数: 2,101 死者数: 73 回復者数: 7,206


引き続き順調に減少傾向にあり、この3週間で感染者数も死者数も平均値が半分以下になっています。

比較対象を8週間前(約2ヶ月)の4月中旬に遡って週平均値を比べると、新規感染者数は約86%、死者数は約84%の減少となっています。

欲を言えば、感染者は3桁に、死者数は1桁になってくれると嬉しいなぁ...と思っていた矢先、昨日(6/14)の新規感染者数が907人と、昨年の9月1日以来、実に9か月半ぶりに1,000人を下回ったのです!

検査数の関係で、毎週月曜日は他の日よりも少ない数とはいえ、ほぼ毎日のように状況を注視している者にとっては、嬉しいニュースでした。


また、日本でも昨日、全国の新規感染者数が、3月22日以来(約3か月ぶり)1,000人を下回ったというニュースを聞いて、イタリアと日本の感染状況が、ここのところ不思議とリンクしているというか、数値的に似通っていて驚きました。


例)6月14日のデータ:

  新規感染者数  死者数  重症者数 

 日本     936人    60人    849人 

 イタリア   907人    36人    536人 


長きに渡って桁違いに感染者数も死者数も多かったイタリアが、ようやく日本と同じレベルの数値になってきた事は、逆に言うと、日本が緊急事態宣言を延長しているにもかかわらず、数値が下げ止まっているということでもあります。


日本では、職域接種が始まって、ワクチン接種が加速しそうだという期待感もある反面で、東京や大阪の大規模接種会場の予約が埋まらずにガラガラだというニュースを聞くと、オリンピックの開催も迫ってきている中で、不安材料も残ります。


さて、話題をイタリアに戻しましょう。


先月末の5月31日から、3ヶ月ぶりにホワイトゾーンに返り咲いたサルデーニャ州に加えて2州が、6月7日から、ヴェネト州(州都ヴェネツィア)やリグーリア州(州都ジェノヴァ)他2州もホワイトになり、合わせて7つの州がホワイトになったイタリア。実効再生数の平均も、Rt.=0.6を下回ってきました!

(※ホワイトになる条件:人口10万人当たりの新規感染者数が、3週続けて50人以下)


そして、今週からは、私の住むミラノがあるロンバルディア州をはじめ、首都ローマのあるラツィオ州ほか、5つの州と1自治体が新たにホワイトゾーンになりました!

危険度別イタリア色地図の変遷(6/7~&14~)

さらには、6/21からヴァッレ・ダオスタ州を除いた残りのイエローゾーンもホワイトになることが予測されていて、最後のヴァッレ・ダオスタ州も6/28からホワイトになるだろうと言われています。


ホワイトゾーンの定義は「規制措置なし」、つまり、6月末にはイタリア全土で事実上の規制(現時点でディスコとナイトクラブを除いて)が解除されることになり、昨年の11月から約8ヶ月間に及んだ「2回目のロックダウン」も、ようやく一段落となる予定です。


3ヶ月前には、真っ赤だったイタリア半島が、地図上ではなんとも涼しげに見えるではないですか!



<まとめ>

ワクチン接種が進んで、感染状況が好転してきているとはいえ、もちろん、ワクチン接種後もホワイトゾーンになっても、引き続き:

①マスクの着用

②対人距離

③手洗いの励行

この3点は守るように言われています。


周りを見ていても、人々がマスクをしていること以外は、日常の生活が戻ってきていることを感じますし、初夏の明るい日差しと共に、人々の表情も明るくなっている気がします。(実際にはマスクをしているので表情までは分かりませんが・・・)


一方では、来週からロックダウンの全面解除を予定していた英国が、デルタ株(インド由来の変異種)の流入で再拡大の懸念があるため、執行を4週間ほど先送りにしたというニュースが入ってきました。

この英国のニュースは、数週間後のイタリアになり得ないという不安がゼロではないことを考えると、人々の気持ちが緩みすぎずに再開の夏を楽しめること、そして何より、収束の秋を迎えられることを願うばかりです。




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