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更新日:2021年4月11日

ヨーロッパでは3月28日(最終日曜日)からサマータイムに入り、今年はその日からイースターの聖週間が始まって、4月4日がイースター(=復活祭のことでイタリア語でパスクワ)の祝日でした。


このイースターの連休<4/3-5>は、イタリア全土がレッドゾーンに指定(つまり事実上のロックダウン)されていたので、昨年のクリスマスに続いて、イタリア人にとって大切なイベントが、多くの規制の中で行なわれることとなりました。


ちなみに、昨年のイースターは4月12日だったのですが、その頃に書いたブログを振り返りながら、同じロックダウンの状況にはあっても、色々なことが随分と違っていることを改めて実感しています。


※イースターは移動祭日のため、毎年カレンダー上も日程が変わるのですが、そのことについては以前のブログ記事(☞コチラ)をご参照ください。


※また、イタリアの一般的なイースターについて以前ご紹介している記事(☞コチラ)も良かったら読んでみて下さい。


<昨年と今年の大きな違い>

①マスクの入手が容易

 日本も一年前はマスクが瞬く間に店頭から消え、しばらくの間は入手困難だったと聞いていますが、ここイタリアでは日本のように元々マスクをする習慣がなかったので、それはそれは大変でした。

 こちらでも、昨年の夏くらいから、徐々に色々なマスクが出回り始めましたが、日本のようにウレタン製のマスクをしている人はほとんどいません。主流は不織布の医療用マスクですが、第二波に入った昨年の秋以降は、多くの人(特にテレビで毎日のように見かける政治家たちを中心に)がN95(欧州ではFFP2)などの防塵マスクを使用するようになりました。

 今年に入ってから(イタリアを4ヶ月ほど離れていたので、実際はいつからか不明)は、色々なカラーのものが輸入(ほとんどが中国製)され、随分と選択肢が増えました。

それまでは白(あっても黒)が中心だったので、最初は斬新に思いましたが、実際に手にしてみると、洋服とのカラーコーディネートや、その日の気分で替えられるので、ある意味で気分転換になります!

【カラーバージョンの防塵マスク】


②散歩や運動が可能

 一年前の時は、基本的に仕事や健康上の理由以外、またスーパーなどへ買い物に出る以外は外出自体が認められず、外出時も常に「自己宣誓書」を持ち歩く必要がありました。また、唯一認められていた犬の散歩も家から2メートル以内などの制約があり、公園なども閉鎖されていました。さらには、ランニング等の個人的な運動もNGだったので、かなりの人が運動不足になったことは言うまでもありません。

 今年は、屋外で対人距離を保ちマスク着用というルールを守れば、同じ自治体内でのランニングやサイクリングは可能で、また自宅近辺であれば散歩も運動の一環とみなされます。実際、警察によるコントロールも少し緩やかになった気がしています。また、公園なども開放されているので、子供が遊んだり、大人が日光浴をしたりしていて、私も今年はお花を愛でに散策できました!


③色分けによって一部の業種は営業可能

 一年前のイタリア全土がロックダウンになった時は、食料品や生活必需品の販売店、薬局及びスーパーマーケットを除く全ての商業及び小売り販売活動が休止されていました。

 でも、今回のロックダウンでは、ゾーンの色分けによってイエローやオレンジの場合は普通に商店が開いていますし、レッドゾーンになっても一部の業種(例えば、本屋、文房具屋、スポーツ用品店、眼鏡屋、携帯電話屋、花屋、下着屋、化粧品店、クリーニング店など)は開いています。

 下の写真は、ちょうど一年前と今年の同じ時期に同じ場所(アングルは少し違う)で撮影した、近所のショッピングセンターの様子です。

【上:2020年4月/下:2021年4月】


 上の写真では、同じ敷地内のスーパーマーケットの入場制限で、紅白のテープに沿ってぐるりと長蛇の列が距離を空けて出来ていました(筆者もその列にいて撮影)。そして、周囲の店舗(小売店が軒を並べている)は全てクローズしていました。

 ところが下の写真では、一部の店舗が営業していますし、人々もベンチに座って寛いでいる様子が見られます。とてもレッドゾーンとは思えない日常の風景です。何より、スーパーマーケットに入るのに列を作ることはほとんどなくなりました。


④飲食店の営業形態

 一年前は、レストラン、カフェなどの飲食店は夜間営業のみでなく全面的に閉鎖(一部の宅配サービスは可)が命じられていました。

 今は、すっかりデリバリーやテイクアウトが常識となり、多くの店は営業形態をシフトして生き残ろうとしています。感染状況が落ち着いてイエローゾーンになると、18時までなら店内での飲食が可能となるので、ランチをしたりお茶をすることができます。


もちろん、この一年でコロナの影響で閉店してしまった店舗も数多くありますし、まだ州を跨いでの移動や海外からの観光客が来られないため、ホテルなどはずっと閉鎖したままの所がほとんどです。


それでも、一年前のピリピリとした雰囲気や人々の行き場のない不安感などは薄れているように思います。誰しもが“コロナとの付き合い方”を学んだこともあるのでしょう。

一言でいってしまえば、「緩み」や「慣れ」なのでしょうが、このどうにもできない状況に「順応」して半ば「諦める」しかないのかなぁと思ったりもしています。


これは私の個人的な意見も含まれ、また同じイタリアでも地域によってバラつきもあるはずなので、あくまでその辺りはご了承ください。



<イタリアの感染状況の推移>

続いて、イタリアのその後の感染状況の推移です。(この記事は執筆時4月9日現在の情報を基に書いています)


過去4週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりなのでお間違えなく!! 

 

   * 3/12- 3/18 感染者数:22,528 死者数:377 回復者数:14,980

   * 3/19- 2/25 感染者数:22,562 死者数:421 回復者数:19,935 

   * 3/26- 4/ 1 感染者数:20,348 死者数:435 回復者数:19,838

   * 4/ 2- 4/ 8 感染者数:15,788 死者数:431 回復者数:18,093


3月中は1日の新規感染者数が2万人台で推移していましたが、4月に入ってからようやく微減し始め、再び新規感染者数よりも回復者数の方が上回りだしました。

それでも、相変わらず一日当たりの死者数が多いのには言葉を失いますが、これを減らすには、とにかく新規感染者を増やさないようにしていくしかないのでしょう。

金曜日のニュースでは、イタリア全土で実効再生数の平均も1を切ってきたので、来週(4/12~)はレッドからオレンジゾーンになる州も多いようです。


そして、イタリアでも変異ウィルスへの不安が話題となることが多いのですが、第4波が来る前になんとかワクチン接種を急いでほしいものです。



<ワクチンの接種状況>

日本経済新聞のネットニュースの発表によると、4月9日現在の世界のワクチン接種状況は、累計接種回数順だと米国、中国、インドのトップ3が桁違いに多いのですが、次いで英国、ブラジルとなり、イタリアは11番目に入っています。


私が前回このワクチンのことを話題にした1月末の記事に掲載した同じリソースのデータと比較すると、人口100人当たりの接種回数では:

米国7.1回⇒51.7回、英国11回⇒56.1回、イタリア2.5回⇒19.5回となり、この2ヶ月ちょっとの間に、人口比からみると英国が飛躍的に接種のスピードが加速していることがうかがえます。ちなみに、日本は1月末時点では接種そのものが始まっていなかったのですが、現在も100人当たりで1.2回という状況です。


ここで注目したいのは、英国なのですが、ご存知のように、イギリスでは昨年の12月に英国型の変異株が最初に確認され、感染状況が欧州最悪の時期もありました。しかし、3月28日に半年ぶりにロンドンの死者数がゼロ(英国全体で19人)だったというニュースは、ここイタリアでも話題になったばかりです。一時は1日の死亡者数が1,300人を超えたこともあったのですから。。。イギリスでは、その後も順調に状況が改善しているようで、4月6日の新規感染者数は2,379人と、1月に一日で6万人超だった日もある状況からは劇的に減った訳です。


こういった英国の例からも、ワクチン接種がいかに有効であるかを考えさせられます。特に、ロックダウンをしているにもかかわらず、第二波が下げ止まりのまま第三波を迎えてしまったイタリアでは、こうした目に見える劇的な効果を渇望しているのです。


イタリアでは、いち早く医療従事者と高齢者施設の入所者に優先してワクチン接種が行なわれ、その後、軍・警察関係者、教職者、そして一般の80歳以上の高齢者までほぼ行き渡っているようです。現在は70代後半の人への接種予約を受付けていて、来週から接種が始まります。

以下は、私の住むロンバルディア州が先日発表した年代別の接種スケジュールです。

【ロンバルディア州のワクチン接種スケジュール】


イタリアでも、当初の予定よりもワクチンの入手状況が遅れていて、上のスケジュールも最初に出たものからは改定されています。なので、今後また先送りになる可能性も十分にあるのですが、これによると、私の年齢では、来月中旬から予約が始まり、7月半ばまでには接種ができる見通しです。


日頃は、色々な意味で「若者が羨ましい」と思うことばかりですが、今回に限っては「中年で良かった~」と勝手なことを思ってしまいました(苦笑)



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世界保健機関<WHO>が、新型コロナウイルスの感染拡大について、パンデミック(=世界的な大流行)になったとの認識を示してから一年が経過しました。

世界全体の感染者や死者の増加ペースはピーク時よりは緩やかになっているものの、感染状況がリバウンドしている国もあり、変異ウイルスへの対応やワクチン接種のペースの加速が課題となっています。


3月12日の時点で、世界全体で新型コロナウイルスの感染が確認された人は、1億1800万人以上、死者も260万人以上にのぼっています。

そして、ここイタリアはというと、3月5日時点で感染者数が300万人を超え(イタリアの人口の5%、20人に一人が感染している計算)、8日時点で死者数が10万人(感染者の約3.3%)を超えました。


私がこのブログで一年前に書いた記事を振り返ると、昨年の3月12日時点のイタリアの感染者数は約1.5万人(一年で200倍)、死者数者は約1,000人(1年で100倍)でした。

一年前のあの頃、いったい誰がこんな現状を予測していたでしょうか?!

私自身、このブログの連載が一年以上に及ぶとは考えてもみませんでした💦


こちらでは引き続き、イタリア(主にミラノ)からの現地レポートを続けていきたいと思っています。


<イタリアの感染状況の推移>

まずは、イタリアのその後の感染状況の推移です。(この記事は執筆時3月13日現在の情報を基に書いています)


過去3週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりなのでお間違えなく!! 

 

   * 2/19- 2/25 感染者数:14,718 死者数:298 回復者数:12,756 

   * 2/26- 3/ 4 感染者数:18,670 死者数:286 回復者数:11,198

   * 3/ 5- 3/11 感染者数:21,414 死者数:316 回復者数:13,825


1月の2週目から2月前半までの6週間は、新規感染者数よりも回復者数の方が上回っていたので、1月下旬に一旦は50万人を切って減少し始めていた現陽性者数だったのですが、2月の後半から再び感染者数の方が上回るようになったため、陽性者数も増え始め、さらには重症者数も増えてきているという嫌な傾向です。


つまり、第二波が下げ止まりのまま、誰もが懸念していた「第三波」がついにやってきてしまったのです!!!


<地図上で見るゾーンの色分け>

イタリアでは、第二波の到来を受けて二度目のロックダウンが始まった昨年の11月以降、危険度に応じて、州ごとに色分けして規制措置を設定しています。その状況は毎週のように変わるため、この4ヶ月間でイタリア地図は頻繁に塗り替えられてきました。


ここ最近は、「レッドに近いオレンジ」つまり「濃いオレンジ」というゾーンも新たに設定され、学校が再び閉鎖(対面授業の禁止)されたりしていました。

また、政府が定める州毎の措置に加えて、各州の州知事の判断で県や市などの自治体ごとに細かい指定が行われていました(例:トスカーナ州はオレンジだけど、その中でシエナ県だけレッドなど)。

そして、この制度になって初めての「ホワイト」(危険度ゼロで規制なし)が、3月1日からサルデーニャ州に出されました。つまり、3色だったゾーンが5色に増えたのです。


以下は、昨日3月12日に発表された新たな危険度による色分け(ゾーン別措置)を地図上で示したものです。左側が12日以前、右側が来週月曜15日からです。

【左:3月12日時点/右:3月15日から】


ご覧のように、イエローが消えて、半分以上がレッドゾーンとなり、白のサルデーニャ州〔島〕を除いては、一目してイタリア全体に色が濃くなっているのが分かります。

一時期は、レッドゾーンが消えオレンジも5州だけ、残りの15州はすべてイエローだったこともあるのですが、第三波の到来により、こんな風に塗り替えられてしまったのです!


さらに政府は、来月初めのパスクワ(イースター)休暇の4月3~5日の連休に関しては、イタリア全土をレッドゾーンにすると発表しました。

つまり、昨年のクリスマスに続いて、イタリアで大事なイースターの行事を、外出せずに同居の家族のみでステイホームするよう求めているのです💦


<最近ミラノで起きていたこと>

前回&前々回と、イタリアの政権交代に関する記事を書いていたため、まったくリアルタイムではなくなってしまったのですが・・・

実は、2月からイエローゾーンになって浮かれていた多くのミラネーゼたちは、すっかり気を緩めて規制を無視し、感染者が再び増えても仕方のないような行動をしていたのです(苦笑)


その一例が、2月21日に行なわれたサッカーの一大イベント「ミラノダービー」に集結したサポーターたち。。。


サッカーのミラノダービーと言えば、サッカー好きの人なら誰もが知っているほど重要な一戦!~ミラノにあるサンシーロ・スタジアム(イタリアサッカーの聖地とまで言われる)を拠点とするミラノの2つのクラブ、「ACミラン」(サポーターはミラニスタと呼ばれる)と「FCインテル」(同じくインテリスタと呼ばれる)の直接対決なのです。


※一時期は、ミランに日本の本田圭佑選手、インテルに長友佑都選手が所属していたので、日本でもその名を聞いた事がある方も多いのではないでしょうか?


現在、イタリアの各種スポーツイベントは、基本的に〔無観客〕で開催されているので、

本来なら、いくらミラノダービーとは言えども、ステイホームしてテレビやパソコンで大人しく観戦していなければいけないのですが、タイミング悪く?この対決がリーグの首位攻防戦となってしまったため、両チームの熱いサポーターたちは家でジッとしていられなかったのでしょう(苦笑)


スタジアムまで行けば、サポーター同士で盛り上がれると思ったのか、あるいは、SNSで集結が呼びかけられたのか・・・結果はご覧の通りです💦

【スタジアムに集結したミラニスタたち】


スタジアム観戦と同じように、応援旗を持参して翻し、発煙筒を炊いて盛り上がっているではないですか!

【同インテリスタたち】


そして、よく見ると、マスクはしていてもあごの下まで下がっています(苦笑)この様子は、もちろん当日のニュースでも流れていましたが、みな大声で叫んでいました!!


果たして、どれだけの数のサポーターが押し掛けたのかは分かりませんが、上の写真を見ただけでも、まるで暴動のような騒ぎ・・・とても警官の手には負えなかったのが想像できます。



その翌週末の様子が、もう一つの例です。

昨年の11月から約3ヶ月間、再び外出規制や移動制限が続いてストレスが溜まっていたのは、サッカーのサポーターたちだけではなかったのです。


2月にオレンジからイエローゾーンに緩和されたことで、カフェやバール、レストランでのイートインが可能(ただし18時まで)となったミラノでは、久しぶりに友人と会っておしゃべりしたり、仲間と集まって遊んだりできるようになったため、街には人が溢れ出していました。


ところが、再び感染者が増え始めたことで、3月からまた元のオレンジに逆戻りということになり、また暫くの間は自由が制限されると思ったミラネーゼたち。。。そりゃあ、羽目を外したくなるでしょう😅


イエローの最後の週末の日曜日(2月28日)の人出は、予想通り、いや予想以上でした💦

【ナヴィリオの運河沿いに屯する若者たち】


陽気も暖かくなってお天気も良かったので、若者の集まるナヴィリオ地区やミラノの中心部だけでなく、ミラノの街のあちこちで人混みができて賑わっていました。


上の写真を見ても分かるように、対人距離は1メートルも取れていませんし、マスクを外している人も少なくありません。


もっと酷かったのは、夜の様子です。カフェやバールの営業は18時まででも、下の写真のようにビールを売る露店が出ていたり、音楽をかけて踊り出す若者までいて、まるで野外のクラブと化していたようです💦

【ナヴィリオ地区の夜の様子】


自然発生的にこれだけの人が集まってしまうと、やはり警官のコントロールは及ばなかったそうです。


これがイエローゾーンだった頃の2月後半のミラノの様子です。この結果が、今の再感染増の数値に反映されているのです。

そして、来週からミラノのあるロンバルディア州も、再びレッドゾーンになることが決まりました。つまり、ロックダウンです。


仕事や健康上の理由、また必需品の買い物に行く以外は、日中でも外出が禁止されます。飲食店もデリバリーとテイクアウトのみの営業となり、スーパーや食料品店、薬局などを除き、一般の商店もクローズ。つまり、いわゆるショッピングができなくなります。


こういった現象は、もちろんミラノだけではありません。上に掲載した地図を見ても分かるように、イタリア中のあちこちで起きていた結果、イタリア半島が真っ赤になってしまったという訳です…😢


先程のニュースでは、この週末レッドに変わる各地の美容院などは、予約が殺到していると言っていました。どうせ出かけられなくなるなら、髪型なんてどうでも良いだろうに…と思いませんか?

また、イエローからオレンジを飛び越えてレッドに変わることになったラッツィオ州~首都ローマはこの州の州都~ローマ市内のショッピングストリートには、人気店の外に行列ができている様子が報道されていました。でも、服やバッグを新調したって、どうせお洒落して出かけられないのになぁ。。。



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更新日:2021年3月12日

前回のブログでは、年明け早々にイタリア政界で起きた首相交代劇について触れました。では、新しく首相に就任したマリオ・ドラギ氏はどんな人物なのでしょうか?

私自身、「えっ、誰それ?」といった感じで名前を聞いた事もなかったのですが、おそらく日本では、ほとんど知られていない存在ではないかと思います。


<新首相の経歴>

第67代・イタリア首相となったマリオ・ドラギ氏は、1947年、ローマ生まれの73歳。

実は、15歳で両親を亡くしてからは、妹弟と一緒に親戚のところで育ったという苦労人。敬虔なカトリック信者でもあるそうです。


ローマのラ・サピエンツァ大学を卒業後、1976年に米国のマサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。

1981~1991年:フィレンツェ大学で教授を務める傍ら…

1984~1990年:世界銀行ワシントンD.C.)エクゼクティブ・ディレクター

1991~2001年:イタリア財務長官経済財務省総務局長

2002~2006年:米国ゴールドマンサックス副会長

2006~2011年:イタリア銀行総裁

2006~2009年:金融安定化フォーラム議長

2009~2011年:金融安定理事会の初代理事長

2011~2019年:欧州中央銀行(ECB)総裁


という風に、経済学者、銀行家として華麗なキャリアを重ね、経済だけでなく教育や外交の知識も豊富なので、財務長官時代も歴代の首相と渡り合ってきたという超エリート


中でも、欧州債務危機の真っ只中だった2011年に欧州中央銀行(ECB)総裁に就任した際には、大規模な量的緩和やマイナス金利など異例の金融緩和策を断行し、混乱していた債券市場を沈静化したことから、その危機封じ込めの手腕は「ドラギ・マジック」ともてはやされ、「ユーロ(通貨)の救世主」とか、「スーパーマリオ」などとあだ名されるようになりました。


特に、2012年7月にロンドンで行なった講演で、欧州中央銀行は、ユーロを救うためなら必要なことは何でもする準備はできている 」(the ECB is ready to do whatever it takes to preserve the euro)と発言したことで、欧州のみでなく、世界中に知られるようになったそうです。


2014年には、米フォーブス誌に「世界で8番目にパワフルな人物」として掲載され、翌2015年にはフォーチュン誌で「世界で2番目に偉大なリーダー」にランク付けされました。


<ユーロ紙幣に印刷されているドラギ氏の署名>

実は今回のことで初めて知ったのですが、私たちが普段使っているユーロ紙幣には、ECB総裁の署名が入っているのです。

【新5ユーロ札にサインを入れるドラギ前ECB総裁】


上の写真は、2013年1月に新しい5ユーロ札のデザインが発表された時のものです。実際にご本人がマスコミの前でサインをするパフォーマンスを披露したようです。


現在EUでは、下の写真のように2種類の紙幣が出回っていますが、新札と旧札では署名のしてある位置が変わっています。分かりやすく赤丸で囲みました。

【上:旧50ユーロ札、下:新50ユーロ札】


私も早速、手持ちの紙幣を調べてみましたが、ほとんどがこのドラギ氏の署名入りのものでした。中には、ドラギ氏の前任者や後任者のものもあるのですが、何しろドラギ氏の在任期間が長かったので、現在流通している紙幣の大半を占めているのでしょう。

もし、皆さんもご自宅に以前ヨーロッパに旅行で来られた時のユーロ紙幣が残っていたら、ぜひチェックしてみて下さい(笑)


<日本のスーパーマリオは?>

こんな経緯から、今回のイタリア首相就任のニュースで、欧米のメディアなどは「スーパーマリオが帰ってきた!」というタイトルを掲げているものを多く目にしました。


さて、スーパーマリオでふと思い出したのが、5年前のリオデジャネイロ・オリンピックの閉会式の一場面です。きっと皆さんも記憶されている方が多いのではないでしょうか?


そう、日本が誇るゲームキャラクターのスーパーマリオに扮して登場し、観衆をアッと驚かせた当時の日本国首相、「安倍マリオ」です!

【2016年リオデジャネイロ・オリンピック閉会式】


結局、昨年の東京オリンピックも延期され、今年も開催ができるのかどうか・・・問題は山積みで微妙な感じですが、安倍前首相は「スーパーマリオ」どころか、コロナ禍に実施した「アベノマスク」で世界中から失笑を買ってしまいましたよね(苦笑)


ドラギ氏については、スーパーマリオがスーパーマリオであり得たのは、中央銀行業の知的空間の中においてのことであって、果たして、イタリア政界において、その神通力が通用するかどうかは現時点では何とも見極めがつかないと言われています。


ただ、こんな切り札的な人材がイタリアにはいて、このような配役が可能だというところには救いがあるし、その起用を思い切れる指導者がいるあたりが、なんとも羨ましいと思ったのは、私だけではないはずです。


イタリアでは過去10年で7度目となった内閣交代~安倍前首相が長期に渡り在任して(居座って)いた日本よりも、そこだけみると政治的に不安定ではあります。


でも、2月17日の所信表明演説で、ドラギ氏は「政権は日数ではなく質と運営者の勇気で評価されるべきだ」と述べ、欧州連合(EU)と連携してコロナ禍からの経済復興に努めることを約束してくれました。

とにかく今は、このイタリアのスーパーマリオ政権に、大いに期待したいと思います。



<イタリアの感染状況の推移>

では、イタリアのその後の感染状況を数字で比較してみたいと思います。(この記事は執筆時2月28日現在の情報を基に書いています)


過去4週間の推移を1日の増加数の週ごとの平均値で見てみましょう。

1週間のトータル数ではなく、一日あたりなのでお間違えなく!! 

 

   * 1/29- 2/ 4 感染者数:11,706 死者数:409 回復者数:17,631

   * 2/ 5- 2/11 感染者数:12,280 死者数:355 回復者数:15,532

   * 2/12- 2/18 感染者数:11,716 死者数:308 回復者数:14,338

   * 2/19- 2/25 感染者数:14,718 死者数:298 回復者数:12,756 


2月に入っても横ばい状態だった感染者数が、また増え始めています💦

2月1日から「イエローゾーン」になっていたミラノでは、この3週間の人出が増え、繁華街や広場等での密集が起きていたことから、またリバウンドが起こるのではないかと懸念されていたのですが、その通りとなってしまい、今日3月1日より再び「オレンジゾーン」に逆戻りとなりました😢


これで、当分の間は外食どころか、カフェでお茶もできなくなってしまったのです!

そのあたりのレポートは、また日を改めて記事にしたいと思います。



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