ミラノから行く日帰りの旅~ヴェローナ編②
- 舞緒ルイ
- 2016年8月21日
- 読了時間: 4分
昨日に引き続き、ヴェローナ市内観光のレポートです!
ジュリエットの家を見学した後、カッペッロ通りを引き返してそのまま直進すると、エルベ広場(Piazza delle Erbe)に出ます。写真のように白いテントを広げた露店がずらりと並んでいるのですぐ分かるでしょう。
ローマ時代にはフォーロ・ロマーノ(公共広場)があった歴史のある広場で、かつてはエルベ(野菜やハーブ類を指す)だけが売られていたため、そう名付けられたそうです。当時の商業の中心だった場所は、現在では果物などの他にも、観光客用のみやげ物や地元住人向けの日用品や雑貨などが売られています。

広場の中心には、14世紀半ばにスカラ家によって作られたマドンナの噴水があり、今も街のシンボルになっています。また広場の奥には、ヴェネツィアのシンボルである翼のある獅子像を上部に戴く聖マルコの円柱が立っていますが、これはヴェローナが15世紀初めから約400年間ヴェネツィア共和国に支配されていた名残です。そして広場の周囲は、鮮やかなフレスコ画が残される16世紀の商人の館(マッザンティ屋敷)や17世紀に建てられた典型的なバロック様式の宮殿(マッフェイ館)、中世の鐘楼(ランベルティの塔)などに囲まれた開放的な広場となっています。このランベルティの塔がある建物が旧市庁舎です。

エルベ広場を見下ろすように立つランベルティの塔は84メートルの高さがあり、368段の階段で上まで上ることができます(有料、途中までエレベーターの利用も可)。もちろん、塔の上からは360度ヴェローナの街を一望できますので、時間と体力に余裕のある方には是非お勧めです!
エルベ広場から塔の横を右折してアーチを抜けると、中央には文豪ダンテ・アレギエーリ(詩人、哲学者、政治家)の像があるシニョーリ広場(Piazza dei Signori)に出ます。
<ランベルティ塔の写真はエルベ広場から撮ったものと、シニョーリ広場から撮ったものです>


ダンテの時代のイタリアは、教皇派と皇帝派に分かれて長らく内部抗争が続いていましたが、皇帝派だったダンテは政変により教皇派の中心都市だったフィレンツェから追放の身となり、ここヴェローナで亡命し、当時の君主スカラ家の客人として滞在していたそうです。そして、その時にあの名作「神曲」の〔天国編〕を書いたと言われています。
「ロミオとジュリエット」の物語も、この時代に実際に起こった事件がモチーフとなっていて、教皇派を支持していたモンタギュー(イタリア語でモンテッキ)家の息子がロミオ、皇帝派を支持していたキュピレット(イタリア語でカぺレッティ)家の娘がジュリエットでした。両家の対立は、最初にダンテの「神曲」の中で紹介され、その後、イタリアの作家パンデッロが二人の悲劇的な恋をテーマにした作品を発表し、シェイクスピアは、この作品をもとにして戯曲を書いたといわれています(実際、シェークスピア自身はヴェローナに来たことはないそうです)。
こういった時代背景に想いを馳せながらの観光も、この街の印象をより深くしてくれるのではないでしょうか。

広場は12~15世紀に建造された宮殿に囲まれ、その建築様式も様々ですが、例えばダンテ像の後ろには美しいルネッサンス様式の柱廊が見られます。市庁舎や裁判所などがあったことから、当時は行政の中心の広場だった訳ですが、写真右奥の建物は現在でもヴェローナ県庁舎として使われているそうです。

シニョーリ広場からこの県庁舎の右側の道を進んでいくと、今度はゴシック様式の立派なモニュメントが見えてきます。
これは、スカラ家の霊廟(Arche Scaligere)...13-14世紀にヴェローナの黄金時代を築いた一族であるスカラ家の領主のお墓です。立派な彫刻が施された四角錐の屋根の上には騎馬像が飾ってあり、その下に石棺が置かれています。
また、墓廟を囲んでいる鉄格子の模様はスカラ家の家紋で、四弁の花の中央には階段が配置されています。
スカラとは、イタリア語で階段とか梯子を意味するので、家紋にそのデザインを入れているところがオシャレですよね!

ちなみに、ジュリエットのカペレッティ家の家紋は帽子がモチーフになっていて、ジュリエットの家の入口上部を注意深く見ると帽子のデザインが彫られています。イタリア語で帽子はカッペッロで、カペレッティは小さな帽子の複数形といった意味になるのですが、現在ジュリエットの家がある通りもカッペッロ通りとなっています。
余談ですが、ミラノにあるオペラの殿堂「スカラ座」は、サンタ・マリア・デッラ・スカラ教会の跡地に建設されたことから命名されたのですが、この教会の名前こそ、ミラノの名門ヴィスコンティ一族に嫁いだスカラ家の娘=ベアトリーチェ・デッラ・スカーラからつけられたそうです。
今日はこの辺で、ヴェローナ・レポートは明日に続きます!
なお、観光の順路を示した分かりやすい地図があったので、参照までにリンクを添付します。
ヴェローナ市街地図(JAPAN-ITALY Travelさんのリンクマップをお借りしました)
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