ミラノから行く日帰りの旅~ヴェローナ編③
- 舞緒ルイ
- 2016年8月22日
- 読了時間: 5分
ヴェローナ市内観光レポートも3回目となります。
昨日までで主な見どころは押さえたので、ここからは時間と興味に応じて...ということでご紹介させて頂きますね。
スカラ家の霊廟を見た後に、地図を見ながらピエトラ橋(Ponte Pietra)の方向へ抜けて行こうとすると、ご覧のような建物が目を引くことでしょう。こちらは15世紀のゴシック様式の教会で聖アナスタージア教会(Chiesa di Sant'Anastasia)です。

レンガがむき出しの部分が見られるように、正面のファサードは未完成のままらしく、一見地味な感じがしますが、内部に入ると外観からは想像できないほど美しいので、ぜひ時間があれば覗いてみて下さい。私も地元の方に勧められて訪れてみることにしました。

ちょうど日曜日の夕方でミサの最中だったので、後ろの方からそーっと入って見ただけなのですが、高い天井に描かれた花を図案としたフレスコ画が明るく華やかな印象を与えています。
また、円柱に支えられたアーチの部分の赤と白が、イスラム建築の雰囲気を醸し出していて特徴的でした。
時間とタイミングが合えば、もう少しゆっくりと内部を見学してみたかったと思ったほどだったので、後から改めて調べてみると、この教会には有名なフレスコ画があるとのことでした。
内陣の右側にあるペッレグリーノ礼拝堂のアーチの上部に描かれている「聖ゲオルギウスと王女」というタイトルで、ピサネッロという画家によって描かれたフレスコ画です。
さて、こちらの教会を後にしたら、引き続きピエトラ橋へと足を進めてみて下さい。
ヴェローナの街をS字型に蛇行して流れるアディジェ川に出ます。
写真の左手に見えているのが、川に架かる橋の中でも一番古い、古代ローマ時代に起源をもつ石造りのピエトラ橋です。紀元前1世紀に作られたときは木造りの橋だったそうですが、その後に石で架け替えられ、現在みられるのは、第二次大戦で崩壊した後に再建されたものだそうです。
そして、このピエトラ橋を対岸に渡って右へ進むと古代のローマ劇場(Teatro Romano)があります。円形闘技場アレーナよりも古い建造物で、紀元前1世紀末に丘の斜面に自然の勾配を利用して建てられたのですが、中世に劇場を形作っていた石材は殆ど全てが持ち去られてしまい、劇場があった場所の上には別の建物物が建てられていたそうです。19世紀になって地元の豪商が発掘を始め、その後ヴェローナ市が発掘を引き継いで、現在でも夏には野外劇場として利用されているそうです。
この斜面を少し上った高台から川を挟んで見えるヴェローナの旧市街の様子が、ヴェローナっ子の大好きな景色だとか。。。その更に上にはサンピエトロ城(Castel San Pietro)があります。

橋を引き返して再び旧市街へと戻り、ヴェローナの大聖堂=ドゥオモ(Cattedrale di Verona)を目指します。12世紀から建設が始まり、ロマネスク~ゴシック~ルネサンスと様式が混在しているので、建築的にも興味深いと思います(時間的に閉まっていたため、正面からの写真のみ)。

大聖堂の正面に背中を向けて歩き始め、途中から川沿いに進んで2つ目の橋がヴィットーリア橋(Ponte della Vittoria)になります。その橋の上から見える奥の方に架かっている次の橋が、ヴェローナで最も美しいと言われるスカリジェロ橋(Ponte Scaligero)です。この橋と左手の建物ヴェッキオ城(Castelvecchio)は繋がっていて、まるでお城の一部のように見えます。
ヴェッキオ城は14世紀後半にスカラ家によって居城として建てられましたが、現在内部は市立博物館となっています。


遠方から写真を撮り、街の中心部へ引き返す途中で、また古代ローマの建造物の一部に出くわします。
写真に見られるように、2つのアーチの上に更に2層のアーチが重なった特徴的なボルサーリ門(Porta Borsari)です。
古代ローマ時代は、近くにあった神殿の名前を取ってユピテル門と呼ばれていたそうですが、中世の頃に、この門が徴税場所であったことから「徴税」を表すbursariiが転じてボルサーリ門と呼ばれるようになったようです。
この門をくぐって直進すると、エルベ広場のマッフェイ館の前にたどり着きますし、写真撮影だけしてそのまま素通りして道なりに行くと、例のショッピング・ストリートへ交わります。
なお、古い遺跡に興味がある方は、前述のヴェローナ編①でご紹介したジュリエットの家からエルベ広場へ出る前に、そのままカッペッロ通りを進んでいくと、レオーニ門(Porta Leoni)というもう一つの古代ローマ時代の建造物を見ることができます。


こちらは古代ローマ時代の門の呼び名は不明ですが、15世紀に近隣から発掘された石棺の表面に彫られていたライオンの絵柄に因んで、レオーニ(イタリア語でライオンの複数形)門と呼ばれるようになったそうです。
ご覧のように門のアーチの一部が現在の建物の側面に融合されていて、不思議な光景となっています。そして、中庭の壁部分と塔の基礎が道路の下から発掘され、フェンスで囲まれて上から覗き込むことができます。この遺跡の上の通りがレオーニ通り(Via Leoni)です。
レオーニ通りを進むと、サン・フェルモ・マッジョーレ教会(Chisa di San Fermo Maggiore)に出ますが、そこの前のバス停からも鉄道駅へ行くバスが通っていますので、帰りの電車の時刻に合わせて見学の予定を組み立てるといいでしょう。
教会建築に興味がある方は、市の中心部からは少し外れますが、サン・ゼーノ聖堂(Basilica di San Zeno Maggiore)はロマネスク様式を代表する建築物となっていて見ごたえがあるかも知れません。
さて、3回に渡りエピソードなどを交えながらの長いレポートとなってしまいましたが、観光の合間にはランチを取ったり、歩き疲れたら途中のカフェで休憩したり、お店を覗いたり...と、思い思いのヴェローナ観光をして頂けたらと思います。
もちろん、日程的に余裕がある場合には、日帰りではなく宿泊されれば、さらに奥深くヴェローナを楽しむことができるでしょう。いずれの場合も、ミラノからアテンドしてご案内することも可能ですので、お気軽にご相談ください!
なお、観光の順路を示した分かりやすい地図があったので、参照までにリンクを添付します。
ヴェローナ市街地図(JAPAN-ITALY Travelさんのリンクマップをお借りしました)
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